2006年(平成18年) 2月16日(木)付紙面より
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約270年前から酒田市黒森地区に伝わる農民芸能「黒森歌舞伎」(県指定無形民俗文化財)が15日、地区の日枝神社常設演舞場で奉納上演された。
黒森歌舞伎は江戸中期の享保年間(1716―35年)、村人の生活がすさんでいくことに心を痛めた「与作」という村人が、勧善懲悪の教えを広めようと、若衆に芝居をさせたのが始まりと言われる。現在は地区住民による妻堂連中(五十嵐智座長、座員約50人)が継承。1976年に県民俗無形文化財に指定された。毎年、寒さ厳しい2月15、17日の両日に奉納上演されるため、「雪中芝居」とも呼ばれる。
今年のメーンの本狂言の演目は、武田信玄と上杉謙信の争いを描いた「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」。1982年以来24年ぶりの上演という。
この日は比較的穏やかな天候に恵まれ、雪もここ数日の雨で消えてほとんどない状況。地元の黒森小の女児による太鼓演奏で幕開けし、神事、神楽、三番叟、同小男児による少年歌舞伎「青砥縞花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」に続き、本狂言が上演された。見物客はきな粉もちや煮しめなどを詰め込んだ伝統の弁当を広げ、酒を酌み交わしながら、知り合いの役者に声援を送るなど、素朴な芸能を楽しんでいた。
17日も正午から少年歌舞伎、午後1時から本狂言が行われる。
盛んに声援が飛んだ黒森歌舞伎の少年歌舞伎