2006年(平成18年) 2月17日(金)付紙面より
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利用者減少に伴う売り上げの伸び悩みから今年3月末で営業を停止する庄内町余目の温泉複合施設・梵天の温泉、プール両事業について、町としての利活用の可能性などを探る「梵天施設活用検討協議会」(座長・奥山賢一町助役)の最終会合が15日、同町役場で開かれた。これまでの2回の会合を基に事務局でまとめた「梵天施設活用検討報告書」の素案を出席者が承認。同日、奥山助役が原田眞樹町長に報告書を提出した。
同複合施設は1989年、合併前の新余目農協が温泉、プール、多目的ホール、Aコープ店舗を備えた生活総合センターとして開設。庄内たがわ農協設置後の2000年には同農協と全農庄内本部が計5000万円を出資し子会社・梵天(社長・黒井徳夫庄内たがわ農協組合長)を設立。Aコープ店舗を除く施設全般を運営してきた。
温泉入場者は開設当初から95年ごろまでは月平均1万―1万1000人で推移していた。近隣自治体の温泉施設開設などが影響し減少傾向をたどり、昨年度は月平均9000人程度となった。プール事業は定期的に利用する会員が約700人で、フリー客は年間1800人程度という。
利用者の減少などにより、2005年9月期決算で累積欠損金が出資金を上回り今後も収支改善の見通しはない上、老朽化した施設外壁工事の修繕費として1億円余りが見込まれていることから運営を断念。昨年12月に開かれた同農協の臨時総代会で、今年3月末での梵天の温泉・プール事業の営業停止、運営会社の解散が原案通り可決された。
町は今回、梵天について利活用の可能性や町益に資する方策を模索しようと、同検討協議会を設置。報告書によると、施設活用方策のうち温泉事業について「施設の老朽化とともに、近隣自治体の類似施設に比較し年数経過による陳腐化が指摘されている」とし再活用は現状では不可能で、町で策定が進んでいる総合計画を踏まえ、中長期のまちづくりの中で温泉の利活用を検討する。プール事業は改修費用はかかるもののスポーツ振興と位置づけ現存施設の継続活用を図る。
また、プール事業の施設運営主体としては、企業やNPOなど民間を視野に入れている。町としての財政負担と支援の在り方については、一定の施設修理と改修が必要なことから公的助成・補助を考慮し、イニシャルコスト(初期経費)についても一部負担を行うことが必要としている。
最終会合にはメンバー14人が出席。意見交換では「プールの運営主体は積極的な働きかけを行って早く決定して」「運営主体は早急かつ慎重に選定してほしい」「プール会員が他施設に流れることが考えられる」などが出された。