2006年(平成18年) 2月21日(火)付紙面より
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自民党の阿部正俊参院議員(63)=県選挙区=は20日、改選となる2007年夏の参院選に立候補せず、来年7月の任期満了をもって政界を引退する考えを表明した。聴力が衰え、政治家としての活動に支障が出ているためとした。同党県連は次期参院選に向け、阿部氏の後任となる候補の選定に着手する。
阿部氏は同日午前10時から、山形市にある自民党県連会館で、県連会長の加藤紘一衆院議員や平弘造県連幹事長ら県連執行部と会談し、次期参院選への不出馬の意向を伝えた。
その後の記者会見で阿部氏は、次期参院選に立候補せずに引退する理由について、「右の耳だけが聞こえていたが、この1年間でその聴力も衰えてきた。一対一で話すのには支障はないが、大勢の会議の場ではなかなか聞き取れなくなってきた。政治家は、耳で入れた情報で判断して的確に行動することが大事。それに2、3歩遅れをとると感じてきた。医師からは悪くなることはあっても、良くなることはないと言われ、(次期参院選で当選した場合の)次の任期の6年間は無理と考えた」と述べた。
不出馬については、昨年末に加藤氏に相談していたという。改選まで1年半近くあるこの時期に決断したことについて、阿部氏は「次期参院選は自民党にとって大変厳しい選挙になると思っている。早めに態度表明し、その後の対応について県連から最善を尽くしてほしいと考えた」とした。引退後については「まず、与えられた任期を県民のためにも全力を尽くす。その後は、福祉や医療、介護などの分野で何らかの役目をこなしていきたい」と述べた。
阿部氏の後任候補の選考方法について、加藤県連会長は「全く白紙。まず県連の選対会議を開き、候補者選定の仕方を話し合うことになる。オープンで公平で、県民からもいい選定方式だと認められるやり方で、いい候補者を選びたい。それが、県連のことを考えて早めに出処進退を決めた阿部正俊議員の気持ちでもあり、要望だと思う」とした。また、県連の平幹事長は「できるだけ早く選対会議に諮って手続きを進めたい。いろんな条件で変わってくるが、(5月下旬の)県連大会が(候補者選定の)一つの大きな区切りとなる。それまでに党の意思が固まるように努力したい」と語った。
阿部氏は、東根市出身。東北大法学部を卒業し、旧厚生省(現厚生労働省)に入省。大臣官房審議官、老人保健福祉局長を経て1995年7月の参院選・県選挙区で初当選。01年7月の前回選で再選を果たした。この間、総務政務次官、外務副大臣などを歴任し、現在は党副幹事長。党県連会長は通算4期務めた。
次期参院選の不出馬を表明した阿部参院議員(左)=20日、山形市の自民党県連会館