2006年(平成18年) 4月21日(金)付紙面より
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鶴岡市三瀬出身で東京都教育庁に勤務する江口百合子さん(60)=旧姓福田=が物語を書いた絵本「ゆうすけの海」が新生出版(東京都千代田区)から刊行された。「古里の海・由良」を舞台に設定。教員時代の経験を元にひきこもりの小学生と漁師の伯父との交流を通して「不登校児童の自立」を描いた。
江口さんは鶴岡南高から東京学芸大に進み、卒業後、都の教員に採用された。都内の小学校に勤務し、世田谷区立深沢小教頭を経て今年3月に同区立瀬田小の副校長で退職。2002年に自閉症の子供の自立を描いた「あっちゃん」、一昨年に三瀬を舞台にした「にまい舌のやまんば」の2冊の絵本を出版している。
3作目となる「ゆうすけの海」は、クラスメートに疎外され、学校に行けなくなった6年生の男の子が元気を取り戻すまでのドラマを書き上げた。園児―小学中学年向けの民話だった前作に対し、今回は主に小学4年―中学2年生が読者の対象。
いじめられっ子のゆうすけは不登校に陥り、自室にひきこもるようになった。不登校の子どもが通う「ほっとサンスクール」にもなじめないゆうすけに、母は由良で漁師をしている伯父の家への「転地療法」を提案した。おじさんの漁を手伝うゆうすけはある日、「事件」に巻き込まれた。おじさんが船上で2匹のオオダコに襲われた。銛(もり)で急所の眉間を刺したゆうすけはおじさんの命を救った。自信を取り戻したゆうすけは半年を過ごした由良を後にして東京へと向かう。
絵は、版画家・絵本作家でチェコBIB世界絵本原画展金牌賞、小学館絵画賞を受賞し、ファンが多い赤坂三好さんが担当。「にまい舌―」に続いてコンビを組んだ。
江口さんは、「ゆうすけのモデルはいないが、教員時代の経験や実話を物語に盛り込んだ。不登校は人間関係の病で、子どもの教育は母親任せという家庭が多かった。両親がかかわっていかないと解決するのは難しい」と指摘する。そして「学校なんてきらいという子どもにエールを送りたかった。読後、自分と重ね合わせてほしい」と話す。
三部作の1作目。次回は最上川の白鳥を題材に環境問題にスポットを当てる予定で、すでに取材を終えている。
江口さんは「離れてみて古里の良さが分かり、庄内を舞台に選んだ。絵の力を借りて子どもたちの文字嫌いのハードルを越えさせる手助けをしたかった」と話している。
B5変形判、1400円(税別)。最寄りの書店でも取り寄せることができる。
古里の由良を舞台にした絵本「ゆうすけの海」を出版した江口さん
2006年(平成18年) 4月21日(金)付紙面より
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中国黒龍江省ハルビンから庄内に初のゴルフツアー一行が訪れ、20日に庄内ゴルフ倶楽部(庄内町)で「日中友好親善ゴルフコンペ」が行われた。ツアー一行と同倶楽部の会員が一緒にラウンドし、友好を深めた。
一行は、ツアー団長でハルビン国際ゴルフクラブの桑洪理事とメンバーら男女18人。19日に新潟空港から庄内入りし、鶴岡市内のホテルに宿泊しながら、20、22日に庄内ゴルフ倶楽部、21日に酒田カントリークラブでプレーを楽しむ。滞在中に歓迎レセプションが行われ、酒田市内の観光なども予定している。
20日の親善ゴルフコンペには、一行15人と同倶楽部の会員ら11人が参加した。ゴルフツアーの受け入れ側を代表し、同倶楽部の新田嘉一理事長が「日本で初めてゴルフをする皆さんを迎えることができ、うれしく思う。これを機にまた山形、庄内においでください」と歓迎あいさつ。中国一行を代表し桑洪理事が「非常に楽しみにしていた。東方水上シルクロードは経済貿易を促進した。今回のゴルフツアーは民間の友好を促進するものになる。これから毎年来るように努力したい」とお礼を述べた。
親善コンペでは、中国一行と会員が3、4人ずつグループを組み一緒にラウンド。この日はあいにくの雨模様となったが、コースに出た参加者は「ナイスショット」「グッドアプローチ」と声を掛け合い、和気あいあいとした雰囲気の中でプレーを楽しんでいた。
中国黒龍江省と酒田港を結ぶ国際航路・東方水上シルクロードが1992年に開設されて以来、活発な経済交流が行われ、本県とハルビンの結びつきは強まっている。そうした中で初のゴルフツアーが実現し、県観光振興課では「今後も中国から継続してゴルフツアー客が来ることを期待したい」と話している。
中国黒龍江省ハルビンのゴルフツアー一行が来庄。庄内ゴルフ倶楽部のメンバーとプレーを楽しんだ