2006年(平成18年) 9月6日(水)付紙面より
ツイート
秋篠宮妃紀子さま(39)は6日午前8時27分、東京都港区南麻布の愛育病院で、帝王切開の手術で男児を出産された。皇室に男子が生まれるのは、1965年11月の秋篠宮さま(40)以来。約41年ぶりの皇位継承資格者の誕生で、順位は皇太子さま、秋篠宮さまに次ぎ第3位になる。
男児は、ご夫妻の3人目のお子さまで、天皇、皇后両陛下にとっては4人目の孫に当たる。皇室の構成は、天皇陛下をはじめ計23人となった。皇室で帝王切開による出産は初めて。
宮内庁によると、男児の体重は2558グラム。出産は、当初9月下旬(妊娠40週)とされていたが、胎盤の一部が子宮口にかかる「部分前置胎盤」の診断を受け、母体への影響と胎児の成長具合を考慮して20日ほど早い第37週での帝王切開となった。手術は、愛育病院の中林正雄院長の執刀で午前8時23分から始まり、同9時7分に終わった。体重は標準より少なめだが、前置胎盤によくあるケースで、健康に問題はないという。
秋篠宮さまは午前7時10分ごろ、車で愛育病院に到着、手術室近くの別室でお子さまの誕生を待った。男児誕生は、秋篠宮さまから電話で、公務で北海道滞在中の天皇、皇后両陛下と、住まいの東宮御所にいた皇太子さまに伝えられた。
紀子さまは妊娠が分かってからも公務を懸命にこなされてきた。「部分前置胎盤」で出産前の約3週間を病院で過ごされたが、支えたのは天皇、皇后両陛下や秋篠宮さまをはじめとする家族だった。
妊娠5カ月で安定期に入った5月には、東大寺での式典に出席するためご夫妻が泊まりがけで奈良県を訪問された。小雨が降るあいにくの天気でも、紀子さまは笑顔で通された。
同月下旬には全国赤十字大会など週3回も都内の行事に足を運ばれた。負担にならないよう医師のアドバイスを受けながらだったが、医師団から「無理はなさらないように」との声も上がるほどだった。
7月中旬に部分前置胎盤との診断後は、住まいの宮邸で看護師が見守る中で過ごされた。27日の宮内庁病院での検診では、心配した秋篠宮さまが紀子さまとともに主治医から説明を受けられた。
8月16日、シャワーも備え付けられた個室の病室に入院。予定より早かったが、宮内庁幹部は「宮邸ではどうしても家事で体を動かすこともある。安静のため入院された」と説明した。
募る不安を和らげようと、秋篠宮さまや長女眞子さま、二女佳子さまが毎日のように見舞われた。先月26日には天皇、皇后両陛下も来院され、皇后さまはバラなどの花が入ったかごを贈られた。
ご誕生に伴う最初の儀式として、6日午後には、天皇陛下から贈られた守り刀を病院のお子さまの枕元に置く「賜剣(しけん)」が行われ、ご誕生から7日目の12日には、一般のお七夜に当たる「命名の儀」があり、名前と持ち物などにつけるお印(しるし)が決まる。皇室経済法に基づき、お子さまの生計費(皇族費)として、国から秋篠宮さまの10分の1に当たる年間305万円が支給される。
宮内庁は今年2月、紀子さまが第3子を懐妊し妊娠3カ月と発表。7月に「部分前置胎盤」との診断を受けて帝王切開での出産を決定、8月16日から安静を保つため入院されていた。秋篠宮さまと紀子さまは90年6月にご結婚。91年10月に長女眞子さま、94年12月に二女佳子さまがお生まれになった。
紀子さまの男児出産を確認し、病院を出る秋篠宮さま=東京都港区の愛育病院で、6日午前10時4分(代表撮影)
2006年(平成18年) 9月6日(水)付紙面より
ツイート
鶴岡市羽黒町松ケ岡を拠点に庄内地方での映画撮影誘致に乗り出した庄内映画村株式会社(宇生雅明社長)の活動が本格化している。同社が支援する劇場公開用映画「DJANGO(ジャンゴ)」(三池崇史監督)の撮影ロケ地となる鶴岡市羽黒町の月山ろくでセットの建設が始まり、加茂地区でも室内ロケの撮影準備が進んでいる。来月上旬から撮影が始まる予定で、庄内映画村では現地のボランティアスタッフやエキストラを募集するなど、支援体制を整えている。
同映画は、来月上旬から11月下旬を予定に同市羽黒町川代をメーンロケ地に、朝日地域や旧加茂中体育館などをロケ地に撮影される日本初の本格西部劇。三池監督は「妖怪大戦争」「着信アリ」「ゼブラーマン」などを手掛けた。伊藤英明、木村佳乃、桃井かおり、佐藤浩市らが出演予定。
庄内映画村では、映画誘致を観光振興や地域活性化につなげていく活動を目指しており、同映画の撮影現場を一般公開していく予定で準備を進めている。また、管理・運営している蝉しぐれオープンセットの隣接地への移設工事もほぼ完了し、9月20日ごろをめどに移設後のセットを再び一般公開する予定。
同映画のメーンロケ地の月山ろくに建設する宿場町セットは、撮影終了後、松ケ岡地区に移設し、来春から松ケ岡で撮影予定の別の映画撮影に使用される。庄内映画村では「観光客や地域の人にも喜んでもらえるような形で、映画撮影を誘致していきたい」と話している。
移設工事が着々と進んでいる松ケ岡の蝉しぐれオープンセット
2006年(平成18年) 9月6日(水)付紙面より
ツイート
日本、韓国、中国、ロシアの4カ国のNGO(非政府組織)や政府の関係者らが集まり、海洋ごみ問題について課題を探る「国際海岸クリーンアップ&ワークショップin山形2006」が29、30の両日、酒田市公益研修センター多目的ホールを主会場に開かれる。国連機関の主催で、海洋ごみ問題に関してこの4カ国の関係者が一堂に会するのは初。各国の研究者らによる講演などのワークショップ、酒田市宮野浦海岸での漂着ごみ調査のキャンペーンなどを繰り広げる。
国連環境計画(本部・ナイロビ)の日韓中ロの4カ国が参加するプログラム「北西太平洋地域海行動計画」(事務局・富山市)が、外務省や環境省などの後援を受けて開く。国境を越えて漂流し、海洋生物などに深刻な被害をもたらしている海洋ごみについて、関係者が課題を探り、連携の強化を図る狙い。地元では、酒田市飛島の海洋ごみ問題などに取り組んでいるパートナーシップオフィス(西村修理事長)が共催する。
初日の29日は午後1時から公益研修センターでワークショップ。各国の研究者ら6人が海洋ごみの実態や調査、クリーンアップ活動の現状などについて基調講演した後、調査ノウハウの共有化などをテーマに各国代表がパネルディスカッションを繰り広げる。30日は午前8時半から、宮野浦海岸で国際海岸クリーンアップのキャンペーンとして、海洋ごみの調査を体験的に学ぶ。
参加者は韓中ロ3カ国の約50人を含め、計200人程度を見込んでいる。パートナーシップオフィスの金子博理事は「04年に飛島で回収したライターの分析では6割が国内、2割が韓国、2割が中国のもの。日本のごみはハワイなどに漂着して深刻な被害をもたらしている。犯人探しではなく、関係者が協力していく体制づくりにつなげたい」と話している。
ワークショップ&キャンペーンへの参加は無料。申し込みは北西太平洋地域海行動計画=電076(444)1611=へ。
30日に調査を予定する酒田市宮野浦海岸で、海洋ごみについて説明する金子さん=5日