2007年(平成19年) 5月6日(日)付紙面より
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夏の政治決戦となる参院選は、予想される7月5日の公示まで2カ月となった。県選挙区(改選数1)は、候補者選定が難航していた自民党が先月下旬に新人の擁立にこぎつけ、民主党、共産党それぞれの公認ですでに立候補を表明した新人を合わせ、3人による対決の構図がほぼ固まった。各党は4月に行われた統一地方選の結果を見定めつつ、本番に向けた準備を本格化させている。
立候補を表明しているのは、自民党新人で前天童市議の篠原みえ子氏(59)、民主党新人で党県連会長代行の舟山康江氏(40)、共産党新人で党県常任委員の佐藤雅之氏(34)の3人。
自民党は改選を迎える阿部正俊参院議員の勇退を受け、県連として初の公募を導入して候補者選考を進めたが、公募は2度とも不調に終わり、人選を執行部に一任。その後、県教育委員、会社役員、地元マスコミ関係者らに出馬を打診したもののいずれも固辞され、統一地方選後の4月23日に、ようやく篠原氏の擁立にこぎつけた。
参院選の候補者を県議選で売り込むという、当初想定した戦略は不発となった。今月12日の県連大会で参院選に臨む新執行部の態勢を整えた後、各市町村支部で相次いで開かれる総会に篠原氏から出席してもらい、浸透を図る。擁立を決めた先月23日の選対会議で加藤紘一県連会長は「最大の戦略は、候補者決定の際に、もめずに一枚岩で決めること。今回、それができた。県議選もいい結果が出た。十分勝てる」と語った。
自民との選挙協力を視野に入れる公明党。先月25日に自民側から篠原氏への支援要請を受けた。寒河江政好県本部代表は「篠原氏の人物、識見を見極めたうえで、どのような支援が適切か検討したい。連立与党の議席は守らねばならない」と話し、支援に前向きな姿勢を見せる。
民主党県連は2月、前回選(2004年)に出馬した舟山氏の擁立を正式決定し、3月には連合山形が推薦を決めた。舟山氏は統一地方選で民主、社民系候補や連合山形推薦候補の個人演説会に顔を出すなど、精力的に動いた。
小沢一郎党代表が「1人区行脚」などで昨年5月以降3度県内入りし、連合山形などに舟山氏への支援を訴えた。
大型連休中は、衆院の3選挙区ごとに遊説日程を組み、街頭演説に力点を置いた。6日には県連の選対本部を立ち上げ、5月中旬に事務所開きと一気に運動を加速させる構え。6月2日には山形市内で、総決起集会を兼ねた県連大会を開く。近藤洋介県連会長は「県議選の結果からも民主党への期待感が高まっていることが分かる。福島の参院補選も勝つことができた。福島の風を山形にも吹かせ、地殻変動を起こしたい」としている。
1月に独自候補擁立を断念し、民主党公認候補の支持を固めた社民党県連。広谷五郎左エ門県連幹事長は、鶴岡市区で現職の公認候補、寒河江市区で推薦した新人候補が敗れた県議選の結果から、「(党内の)雰囲気が変わるかもしれない」としたうえで、「統一地方選の結果を踏まえ、党員から意見を聞きながら、丁寧に対応していきたい」と話した。
共産党県委員会は昨年4月に佐藤氏の擁立を決めた。佐藤氏も前回選に続く立候補となり、出馬表明後は県内各地の支援団体を回るなど活発に動いている。統一地方選では党公認候補と連動した活動を展開し、「年明け以降だけでも県内を3巡した」(党県委員会)という。「県議選では16年ぶりに2議席を獲得、市町村議選でも4年前に比べて票を伸ばした。政策が受け入れられたものであり、自信を深めている」と後藤太刀味県委員長。「貧困と格差の問題を訴え、憲法を守る戦いを進め、自民でも民主でもないという層に働きかけ、自力で風を巻き起こしたい」と話した。
参院選は、国会の会期延長がなければ、7月5日公示、同22日投開票となる公算が大きくなっている。