2007年(平成19年) 5月8日(火)付紙面より
ツイート
殖産銀行(山形市、長谷川憲治頭取)と山形しあわせ銀行(同、澤井誠介頭取)の合併による「きらやか銀行」が7日、発足した。資金量で県内の地銀トップの山形銀行に迫る銀行が誕生し、長く続いた県内地銀の4行体制は、山形銀行、荘内銀行、きらやか銀行の3行体制による新たな時代に移行した。きらやか銀行のシステム統合は6日までに終了し、7日の営業開始時にはATM(現金自動預払機)などのシステムにトラブルの発生はなく順調に稼動した。
きらやか銀行の本店は、旧山形しあわせ銀行本店(山形市旅篭町三丁目)に置き、澤井氏が会長、長谷川氏が頭取に就き、ともに代表権を持った。
新銀行の本店正面玄関前で7日午前8時半から、発足セレモニーが開かれた。幹部行員ら多くの関係者が見守る中、澤井会長が「無事にこの日を迎えられたのは、多くの支援と両行の合併に向けた力強い意志があったから。おごることなく、地道にかつ愚直に努力を重ねていくことが、お客さまの信頼を得て頼りにされる銀行になる。力強い銀行をつくっていきたい」、長谷川頭取は「きらやか銀行になってやはり良かったといわれる銀行をつくり、一歩一歩理想に向かって歩んでいきたい」とそれぞれあいさつ。粟野学、日下部茂樹の両専務とともにテープカットして、新銀行の誕生を祝った。
きらやか銀行の合併当初の店舗数は117店で、これを来年9月までに77店に統廃合する。また、約1400人の行員については、定年退職などの自然減により、3年後には1200人規模まで削減する方針。
発足セレモニー後の記者会見で、長谷川頭取は当面の経営戦略を説明。鶴岡、酒田、仙台など9つの地区本部を設置し、地域の特性や実情に合わせて迅速に対応できる体制を敷いた。さらに、第二地銀として両行が培ってきたきめ細やかさを生かし、専門スタッフを配置して個人、法人部門ともに相談機能や経営アドバイス機能をさらに強化し、高度で先進的な提案、提供に力を入れる。こうした戦略の実施により、2010年3月期には、本業のもうけを示すコア業務純益60億円、当期純利益30億円、自己資本比率8・4%を目指すとした。そのうえで長谷川頭取は「統合に要した費用の償却が終わる5年後以降は、さらに合併効果が出てくる」と述べた。
また、澤井会長は新銀行の舵取りについて「(長谷川頭取と)2頭立ての馬車でいく」と述べ、澤井、長谷川両氏がリーダーシップを取る考えを示し、新銀行の成功のポイントについて「融和が大事とは思うが、その前に、行員それぞれが使命感を共有し、目標に向かって進んでいくことだ」と述べた。
旧殖産銀行は1914(大正3)年に山形殖産株式会社、旧山形しあわせ銀行は41(昭和16)年に両羽無尽株式会社として創業。それぞれ51年に相互銀行、89年に普通銀行に転換した。旧殖産、旧山形しあわせ2行の合算の昨年9月中間期の預金残高は1兆2156億円、貸出金残高は9204億円。
澤井会長(左から2人目)、長谷川頭取(同3人目)らがテープカット