2007年(平成19年) 5月13日(日)付紙面より
ツイート
酒田市土渕の宿泊施設「眺海の森さんさん」を運営する同市の第三セクター「松山観光開発」(渋谷賢一社長)が、今年6月いっぱいで解散する方針が固まった。利用が低迷して累積赤字が増大する中、市の行財政改革による三セクの統廃合の方針を踏まえたもの。今月28日の株主総会で正式に決定する。施設は7月以降も引き続き営業する予定で、施設を所有する市では現在、指定管理者制度で運営を引き継ぐ団体を募集している。
阿部寿一酒田市長が11日、定例記者会見の中で明らかにした。昨年12月から取締役会の中で解散の方向性を打ち出し、先月の取締役会で固めた。
同社は1994年9月、旧松山町の町営だった眺海の森の宿泊施設「外山ロッジ」など3施設の管理・運営を受託するため、設立された。資本金4500万円のうち、旧町が約78%、その他を金融機関、農協、商工会、森林組合など5団体が出資した。同年10月から3施設を受託し、2001年4月にはスキー客中心の冬季型から通年型の宿泊に移行するために町が整備した「さんさん」(最大宿泊30人)の管理・運営も受託した。現在は市の指定管理者制度でさんさん、外山ロッジ、展望休憩所の3施設を管理・運営している。
市観光物産課によると、中心となるさんさんの年間利用者は、04年度4万3790人、05年度3万9802人、06年度4万2272人と一進一退。06年度の内訳は宿泊約3300人、宴会約7000人、レストラン約8200人、入浴約2万3800人となっている。
財政面では旧町時代から赤字体質が続き、05年度決算では累積赤字が1700万円となっている。
解散の方針は、そうした厳しい運営状況を大きな背景に、昨年8月に市が策定した行財政集中改革プランに「類似の三セク、事業が困難な三セクの統廃合」を盛り込んだことなどを踏まえ、打ち出された。
定例会見で阿部市長は、「類似の三セクの一本化も視野に入れ、まだ余裕があるうちに幕を引くもの」と、解散が市の行財政改革の流れの中にあることを強調した。
運営を引き継ぐ指定管理者については、市が今月14日までの間、募集しており、同18日に選考委員会を開いて決定する予定。
松山観光開発が管理運営している「さんさん」。現在、7月以降の指定管理者を募集している