2007年(平成19年) 5月17日(木)付紙面より
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一般の人が茶菓を楽しみながら、「人間の尊厳とは」「世界の平和とは」など人生や世界の問題について自由に語り合う「哲学カフェ」が15日、酒田市の東北公益文科大公益ホールで開かれた。地域と大学をつなぐ活動の一環として、月1回のペースで開いていく。
哲学カフェは1992年、フランスの哲学者、マルク・ソテーが日常生活に役立つ哲学を目指し、パリのカフェで始めた。同大では間瀬啓允教授(哲学)が昨年5月から月1回、鶴岡市の大学院で開催。2年目の本年度は、昨春に学生の地域活動の拠点として公益ホール内に開設された「地域共創センター」に会場を移し、開いていく。
初回のこの日は酒田市や鶴岡市の老若男女約20人が参加。間瀬教授が「庄内が生んだ哲学四天王」として宮本和吉(1883―1972)、阿部次郎(1883―1959)、伊藤吉之助(1885―1961)、齋藤信治(1907―77)の4人の思想の概要を説明した後、関連するテーマとして「平和」「教養」「人格」「改心」の4つを挙げ、自由に語り合った。
特に平和については、「もっと平和を求める心が強ければ戦争は起きないのでは」「国のエゴや誤った民族主義のため、人間の尊厳がないがしろにされることが多いのでは」など活発に意見が出た。「国や民族によって物差しが違うので、戦争は避けられないのでは」という悲観論に対し、間瀬教授が「解決できないとあきらめないで」と、問題に向き合う姿勢を強調する場面もあった。
次回まで、人間の権利や尊厳、責任を含むものとして漠然と言われている「人格」について考えを深めてくることを「宿題」とした。間瀬教授は「考えることが哲学。気軽に参加してもらいたい」と話している。
哲学カフェは毎月第3火曜日の午後6時半から同8時まで、公益ホールで開く。参加費は無料で、茶菓代の実費(200円程度)を各自が負担。申し込み、問い合わせは同大学地域共創センター=電0234(41)1065=へ。
手作りケーキに舌鼓を打ちながら「哲学」した本年度初回のカフェ