2007年(平成19年) 5月19日(土)付紙面より
ツイート
「女風呂を空にした」と語り継がれる伝説のラジオドラマ『君の名は』のナレーターを務めた鎌田弥恵(みつえ)さんが、鶴岡市出身の作家・故藤沢周平さんの小説を語る「鎌田弥恵が語る藤沢周平の世界」が来月18日、同市馬場町の丙申堂(国指定重要文化財)で開かれる。鎌田さんとその教え子たちが独自の解釈を加えて藤沢作品を語る。
鎌田さんは1947年、NHK東京放送劇団に第2期生として入団。『君の名は』のほか、『一丁目一番街』のナレーションなど戦後のラジオドラマ全盛期に活躍した。79年から舞台で文学作品の一人語りを始め、現在は物語の会「言音座」を主宰。舞台公演のほか朗読の指導なども行っている。藤沢さんが鎌田さんの公演を鑑賞することもあり、旧知の仲だったという。藤沢さん作「荒れ野」を語り1991年度芸術祭賞受賞。
今回の「語りの会」開催のきっかけは、1年ほど前に鶴岡を初めて訪れた鎌田さんの教え子でフリーアナウンサーの深野弘子さん(東京都台東区)が、自然豊かな風景に“一目ぼれ”し、「藤沢さんの古里でぜひ鎌田師匠に語ってもらいたい」と考えたこと。
同じく鎌田さんの教え子で声優・ナレーターの長谷由子さん(東京都渋谷区)、フリーアナウンサーの集祐子さん(同江東区)とともに実行委員会を立ち上げ、地元関係者の協力を得て丙申堂での開催が決まった。
深野さんたちは昨年から何度も鶴岡へ足を運び、開催地を模索。「場所の雰囲気や収容人数なども考慮して、丙申堂が条件通りだった」という。
当日は鎌田さんが『報復』、深野さんが『告白』、長谷さんが『山桜』、集さんが『三年目』の各藤沢作品を語る。いずれも本を手にすることなく、出演者独自の作品解釈を加えた語りを披露する。
深野さんたちは語りと朗読の違いについて「朗読は作品の意図に沿って正しい発音、発声で正確に分かりやすく読むこと。語りは、語り手の個性を生かした解釈や表現をもって作品の内容を聞き手に伝えるもの。語り手によって作品の印象が異なる場合もある」と話していた。
昼夜2部に分け、昼の部は午後1時半開場、同2時開演。夜の部は午後6時開場、同6時半開演。入場料はいずれも2000円で、定員になり次第締め切る。申し込み・問い合わせは丙申堂=電0235(22)0015=まで。