2008年(平成20年) 1月5日(土)付紙面より
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ハタハタの保全や増殖研究に取り組んでいるNPO法人「みなと研究会」(酒田市上安町一丁目、守屋元志代表理事)は、海岸で死んでいくハタハタの卵(ブリコ)を回収、かごに入れてふ化させる市民活動「ハタハタの揺りかご」作戦に取り組む。一緒に回収作業や揺りかごの設置活動を行う参加者「ハタハタの里親」を募集している。
同研究会は2005年度から酒田北港の通称・水路などで、地元の小学生や大学生の協力でハタハタの人工産卵床を設置し、増殖の研究に取り組んでいる。昨年10月には増殖方策を探る「■鰰(はたはた)シンポジウム」を酒田市で開いた。
揺りかご作戦は、砂地に産み落とされたり、海岸に打ち上げられて死んでいくブリコを回収。かごに入れて海中につるし、ふ化させるもの。秋田県ではすでに漁業者が同様の方法で増殖につなげており、酒田では市民活動として実施していくことにした。
ハタハタが沿岸に産んだブリコは、県海面漁業調整規則で採取することが禁じられているが、同研究会は増殖研究の一環で県の特別採捕許可を取得。「里親」を募って、北港の水路周辺でブリコを回収し、プラスチック製のかご(幅約30センチ奥行き約20センチ、高さ約10センチ)に入れ、ロープとアンカーで海中につるす。その後、卵の成育状況の観察や報告会なども行う予定。
守屋代表によると、ハタハタは本来、海藻に産卵するが、近年は磯焼けのため海藻が激減。北港の水路では、砂地にブリコが何層にも積み重なり、埋まったり、新鮮な海水の流れがないために大半が死んでしまう。また、岸辺に打ち上げられ、カモメに食べられたり、乾燥して死んでいくものも多いという。そのため、ハタハタを増やすには海藻の繁殖とともに、砂地などに産み落とされたブリコの保全が重要という。
守屋代表は「市民活動として行うことに大きな意義がある。多くの人に参加してもらいたい」と話している。
里親の参加費は1000円。参加者自身の保険料や活動費に充てる。問い合わせは守屋代表=電080(6018)2820=へ。
※■は魚偏に雷
回収したブリコを入れるかごを手にする守屋代表