2008年(平成20年) 1月11日(金)付紙面より
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鶴岡市の致道博物館にある多層民家、旧渋谷家(国指定重要文化財)で10日、昔ながらの害虫駆除作業「いぶり出し」が始まった。
いぶり出しはいろりにまきをくべて屋内に煙を充満させ、かやぶき屋根にひそむ虫を退治するとともに、ススで柱や縄を丈夫にするもの。かやぶき民家では昔から行われてきた。1822(文政5)年に旧朝日村田麦俣に建てられた旧渋谷家は、1965(昭和40)年に同博物館に移築された。いろりに火を入れることがなくなったため、同博物館が市内の女性に依頼して行っており、冬から春にかけての風物詩となっている。
今年は3人の女性が2人一組となって交代しながら、週に1、2回ずつ作業を進める。初日の10日は午前9時半から「御前(おまえ)」と呼ばれる茶の間でいろりにまきをくべ、火をたきつけた。女性の一人は「鼻水、涙が出て大変。においが体に染み付くので、帰ったらすぐお風呂に入るようにしている」と苦笑い。
午前中はまきをくべ続け勢いよく燃やし、午後からは火が自然に消えるのを待ちながらいぶすという。作業は3月21日ごろまで続けられる予定。
旧渋谷家で、昔ながらの害虫駆除作業「いぶり出し」が始まった