2008年(平成20年) 1月12日(土)付紙面より
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県内19農協の代表者による県農協経営者協議会が10日、山形市内で開かれ、全国農業協同組合連合会(全農)の庄内本部(黒井徳夫会長)と山形本部(遠藤芳雄会長)を今年4月1日に統合することで正式に合意した。県産農畜産物の販売と流通を担う2つの農協組織が、両本部の前身である庄内経済連と山形県経済連の1953年の発足以来55年目にしての一本化となり、「新生全農山形」として全県を挙げた取り組みを強化する。
経営者協議会での合意を受け、同日午後、山形市の産業ビルで、黒井全農庄内、遠藤全農山形の両会長らが記者会見した。
会見で全農庄内の黒井会長は、統合の背景として米価の低迷など農業を取り巻く環境の厳しさを挙げた上で「以前はコメもそれなりの価格で販売できる環境にあったが、それが厳しい状況になった。価格がいい時代には、山形と良い意味での競争関係でやってこられたが、これからは1つの組織でやるべきだ」と語り、「後ろ向きの統合ではなく、個々の持つブランド力を生かしながら、事業スケールを基盤に、生産者の手取りの最大化などメリットを着実に還元できるようにしたい」と抱負を述べた。
全農山形の遠藤会長は、統合の決定を「歴史的な合意」と評価した上で、「(経済連時代を含め県内2組織体制は)競合するところもあり、批判があったのも事実。統合後は山形県の農業生産をリードする県本部として農業振興にまい進できる」と決意を語った。
統合によって「庄内米」などの庄内産のブランド力が低下するのではないかとの懸念について、黒井会長は「庄内米などの地域ブランドはなくさず、今後も生かしていきたい。新潟県にも『魚沼産』や『岩船産』などがあり、問題はない」と強調した。
統合後の名称は「全農山形県本部」で、愛称は「JA全農山形」とする。統合後の2008年度の年間取扱高は1640億円を見込み、全国35都府県の全農組織の中で4位、東北ではトップとなる見込み。
両本部の職員数は現在、庄内が116人、山形が250人で、退職に伴う人員減により統合時は350人体制でスタート。その後も、退職者の不補充で年間20人規模の人員減を見込み、10年度には310人にする。
統合本部の会長人事について、県農協中央会の幹部は「(県内の農協組織の各連合会の)共通会長が就任する形になるのでは」との認識を示した。
全農庄内、山形の統合合意について、齋藤弘知事は同日、「農業をめぐる環境は、農業従事者の減少・高齢化や農産物価格の低迷など大変厳しい状況にある。こうした中での両本部の組織統合の実現は、県産農産物の流通販売機能の充実強化を図るうえで、時宜を得た、非常に意義深いこと」とコメントした。