2008年(平成20年) 1月31日(木)付紙面より
ツイート
鶴岡市湯田川の雪原で、馬そりの荷台を使って雪が積もった田んぼにたい肥をまく昔ながらの作業が行われている。
8ヘクタールに「はえぬき」や「のびのび」などを作付けしている同地区の専業農家、小田実さん(63)は、父親の代から受け継いだ荷台を有効活用している。馬の代わりに耕運機を改良した機械で引っ張る。
雪がないとそりが滑らないため、田んぼに入ることができない。「近年は暖冬でなかなか雪が積もらない。今年は無理かなと思った」と胸をなで下ろす。
小田さんによると、以前は湯田川地区でもそりを使って手作業で散布する農家も多かったが、散布用機械の導入などで姿を消した。「50年以上前から家に伝わるものなので、壊れるまで大事にしたい」と古くなった荷台を今でも使う理由を明かす。
自宅そばで半年間、熟成させたたい肥を荷台に積み込み、ほ場まで運びスコップで雪原にまいていく。1週間ほどかけてたい肥を散布する。小田さんは「馬がひく姿は自分も見たことがない。でも自分の手でまくことで米の味もよくなる気がする」と笑顔で話していた。
馬そりの荷台からスコップで自家製たい肥を散布する小田さん