2008年(平成20年) 10月3日(金)付紙面より
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2年後のデビューを目指し実証栽培されている県の水稲新品種「山形97号」の稲刈りが30日、鶴岡市上清水の実証ほ場で行われた。
県は今年2月、山形97号のブランド化戦略実施本部を立ち上げ、生産、コミュニケーション、販売の3分野の3カ年戦略を策定。ネーミング募集など2010年のデビューに向けた準備を進めている。
実証ほ場は、栽培適地マップ、栽培マニュアル作成のための基礎データを収集し、品種特性や生育状況などを農家に周知するため昨年度から設置。本年度は県内4ブロックに30アールずつ、さらに鶴岡市小中島には有機栽培の15アールを設置している。
上清水で栽培された山形97号は草丈が約80センチで、比較用に同条件で栽培したコシヒカリより約20センチ短かった。コシヒカリは9月10日すぎから倒れ始め30日現在でほぼ倒伏したのに対し、97号に倒伏は見られなかった。
この日は、県の委託で昨年度に続き実証栽培した上清水の加藤健市さん(61)が、30アールをコンバインで刈り取った。加藤さんは「ほかの品種と同様に出穂後の穂ぞろいに時間がかかったが、まずはよくでき、ほっとしている。病害虫の被害も見られず、やはり強い品種だと実感した」と語った。
県庄内総合支庁農業技術普及課では「昨年並みに10アール当たり600キロ程度の収量になるのでは。食味の方も期待できる」と話していた。収穫されたコメはイベントでの試食、卸業者へのサンプルなどPRに活用する。
小中島の有機栽培(無農薬・無化学肥料)の実証ほ場は7日に稲刈りし、はせ掛けやくい掛けで自然乾燥する。
実証ほ場で山形97号を刈り取り=鶴岡市上清水
2008年(平成20年) 10月3日(金)付紙面より
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鶴岡市内のタクシー会社4社が連携し1日から、JR鶴岡駅発着で市内の各観光地を巡る観光タクシー「駅から観(かん)タクン鶴岡」の通年運行を始めた。テーマごとに設定した7つのコースを選んで観光を楽しんでもらう企画で、小型タクシー1台で1回当たり2時間、6000円の定額制。駅から観タクンの運行はJR東日本管内では初という。
庄内地域もエリアとなるJR各社による大型観光キャンペーン「新潟デスティネーションキャンペーン」のプレイベント(10―12月)に合わせ、鶴岡駅から各観光地への利便性の向上を目的に、JR東日本新潟支社と鶴岡市観光連盟の支援、協力で企画した。「手軽に利用しやすい観光タクシー」として駅からの2次交通の充実を図る。
同市観光物産課によると、駅から観タクンの取り組みは岡山や山口、鳥取などで行われ、「手軽で割安」と観光客に好評という。
鶴岡では、藩校致道館や丙申堂、鶴岡カトリック教会、南岳寺など6カ所のうち3カ所を選択し、致道博物館を合わせて4カ所を巡る「市街地」、生誕の地や記念碑、総穏寺、大督寺などに立ち寄る「藤沢周平」、加茂水族館などの「世界一クラゲ」のコース設定のほか、「松ケ岡開墾」「黒川能」「酒蔵とお買い物」「産直めぐり」を合わせて7コースを組んだ。
予約不要で駅からすぐに利用できるのが特徴で、利用時間は毎日午前9時から午後3時まで。1台に4人まで乗車できる。有料施設への入館料は利用者負担となり、施設が休館日の場合はコース変更か運休になる。利用時間の延長や指定コース以外の場所への立ち寄りはできない。
運行するのはハイヤーセンター、庄内交通バス・ハイヤー、大和交通、出羽ハイヤーの4社。市観光物産課は「鶴岡駅を拠点に、市街地に加えて郊外の観光地や名所への交通確保を探る中で、4社連携による観タクンの運行が実現した。料金が通常より割安なうえ、2人で乗車なら1人当たり3000円、3人なら2000円になる。先行地では定額制で料金を気にせずに利用できると好評を得ている。今後、利用者の声を聞き、コースの充実も図っていきたい」と話している。
「駅から観タクン鶴岡」の運行開始を告げる看板=JR鶴岡駅のタクシー乗り場