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2008年(平成20年) 10月9日(木)付紙面より

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今季の餌付け自粛 鳥インフルエンザ懸念し「安心」取る 酒田市白鳥を愛する会 緊急理事会で対応決める

 酒田市の最上川スワンパークに飛来する白鳥など野鳥の保護・観察活動を繰り広げている酒田市白鳥を愛する会(碇谷啓二会長)は今シーズン、餌付けを自粛することを決定した。観察・救護など餌付け以外の活動は継続する。8日午前、碇谷会長らが市役所を訪れ、市観光物産課の羽根田篤課長に決定事項を報告した。

 同市堤町にあるスワンパークは、環境省のガンカモ科鳥類全国一斉調査で、12年連続で日本一の白鳥飛来地となっている。毎年11月から翌年3月までスワンパーク内に観察小屋が設置され、愛する会による保護・観察活動が展開されるほか、餌付けなど野鳥との触れ合いが楽しめることから毎シーズン、延べ30万―40万人の観光客が訪れる同市の冬季を代表する観光スポットとなっている。

 人から人へと感染する能力を持つ新型インフルエンザウイルスへの変異が懸念されている鳥インフルエンザは、渡り鳥を介し全世界に運ばれる危険性が高いとされている。今年4月、秋田県の十和田湖で発見された白鳥の死がいから強毒性のH5N1型の鳥インフルエンザウイルスが検出されたことなどを受け、市は先月、鳥インフルエンザと渡り鳥の関係を学ぶ勉強会を開催。講演した鳥インフルエンザ研究の国内第一人者で獣医学博士の大槻公一さんは「不用意な野鳥との接触は避けるべき」と述べ、市はスワンパークでの餌付けに慎重な姿勢を示してきた。

 自粛の措置は、7日夜に同市の東禅寺コミュニティ防災センターで開かれた愛する会の緊急理事会で集約された。

 理事15人が出席。碇谷会長は今回の決定について「できることなら続けたかった。残念。行政から『やめてほしい』と言われ、会として『やります』とは言えない。人間にうつる可能性も否定できず、衛生面の問題が一番」と話した上で、「餌収集を含め餌付けが一番大きな仕事だが、愛する会の活動はこれだけではない。野鳥の救護や観察、一帯の環境整備などもある。愛する会の存在意義を会員から再度確認してもらい、今後何ができるか考えていきたい」と述べた。毎年11月23日に愛する会が開催している白鳥慰霊祭は例年通り行うという。

 市が設置している観察小屋について碇谷会長は「規模は例年より小さくてもいいので、今シーズンも設置してもらえるよう要望する」と語った。

 餌付け休止の決定を踏まえ愛する会は今シーズン、餌の収集も行わないことを決めた。「一般からの提供を断るほか、これまで提供してくれたライスセンターには手紙を出し決定したことを伝える。東禅寺コミセンには20―30トンの餌が残っている。処分についても市と協議したい」(碇谷会長)と話している。

餌付け自粛を決定した愛する会の緊急理事会=7日夜
餌付け自粛を決定した愛する会の緊急理事会=7日夜


2008年(平成20年) 10月9日(木)付紙面より

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“世界初演”感動呼ぶ 三木稔「源氏物語」ハイライトコンサート

 日本の観劇史に刻まれる公演―。世界的に活躍する三木稔氏が作曲したオペラ「源氏物語」の日本語版ハイライトコンサートが7日夜、鶴岡市文化会館で行われた。8年前の米国公演で絶賛された英語版と並行して作曲された日本語版は、今回の鶴岡公演が“世界初演”となり、首都圏などからも訪れた満場の観客が「三木版源氏」の世界を堪能した。

 「源氏物語千年紀つるおか 三木稔『オペラ源氏物語』ハイライトコンサート」として、地元の民間などで組織した実行委員会(委員長・山崎誠助鶴岡市芸術文化協会会長)が主催した。

 鶴岡公演は、国学院大の創設にかかわった国文学者の故三矢重松氏、作家の丸谷才一氏という国内を代表する2人の源氏物語研究家が鶴岡市出身であることや、三矢氏に師事した国文学者の故折口信夫氏、歌人の岡野弘彦氏ら源氏物語を取り巻く人々と鶴岡とのかかわりの深さがきっかけ。鶴岡市出身で今回の企画を総合プロデュースしたNPO法人日本芸術振興協会の毛呂文紀理事長を中心に、イタリアで活躍する世界的なオペラ指揮者の吉田裕史氏ら新進の芸術家による鶴岡公演応援隊ができ、源氏物語千年紀の年に日本語版の初演が実現した。

 公演は2部構成。1部では、鶴岡放送局に勤務経験がある元NHKアナウンサーで源氏物語全講会研究顧問の杉浦俊治氏が「三矢先生の源氏物語」と題して講話。三矢氏の功績を紹介したうえで、「三矢先生は源氏物語を大和魂の物語として読めると考えていた。明治を代表する源氏物語学者が鶴岡生まれだということを覚えておいてほしい」と語り、国際的に活躍するシズカ楊静さん演奏の七弦琴に合わせ、第40帖「幻」を朗読。三木氏が七弦琴など源氏物語に登場する楽器を紹介しながら物語の世界の音楽性を解説した。

 ハイライトコンサートは、全幕で3時間に及ぶオペラの主要部分の抜粋で、吉田氏が指揮を執り、オーケストラと合唱は東邦音楽大管弦楽団、同大声楽科・大学院の学生らが担当。シズカ楊静さんの琵琶、木村玲子さんの筝を織り込んだ演奏をバックに、光源氏、六条御息所、藤壺、葵上、明石の姫役などのソリスト8人がアリアやデュエット、アンサンブルで、複雑に絡み合う源氏物語の情念の世界観を表現。講談師の日向ひまわりさんが、場面展開のナレーションで物語の進行役を務めた。

 フィナーレ後のカーテンコールが10分余り続き、出演者たちが何度も感動の拍手に応えてステージに登場。三木氏もステージで出演者に加わり、「観劇史に刻まれる公演になった」と興奮気味に観客に語った。

 家族4人で鑑賞した庄内町の60代の男性は「迫力があって素晴らしかった。七弦琴、琵琶、筝の古の音色をオーケストラで表現し、新しい分野と感じた」と感想。鶴岡市の70代の女性は「ここ鶴岡で初演をしてくれたことに感激した」と話した。

 公演終了後には、出演者らを迎えて実行委員会による交流会を東京第一ホテル鶴岡で開催。山崎実行委員長はあいさつで「今夜、鶴岡の芸術文化の歴史に新たな1ページが刻まれた。源氏物語千年紀に、これほどの感動を与えてくれたことを、三矢先生も喜んでいるここと思う。ぜひ全幕のオペラを鶴岡で、との思いも起きてきた。96歳となったが、それを観るまで死ねない」と述べ参加者を沸かせ、公演に駆けつけた東邦音楽大の三室戸東光学長らがあいさつし、鶴岡での初演の成功を祝福し合った。

日本語版の“世界初演”で感動を呼んだオペラ「源氏物語」ハイライトコンサートのカーテンコール(上) 生霊となった六条御息所(下右)が葵上を苦しめる場面。六条の存在感に大拍手がわき起こった
日本語版の“世界初演”で感動を呼んだオペラ「源氏物語」ハイライトコンサートのカーテンコール(上) 生霊となった六条御息所(下右)が葵上を苦しめる場面。六条の存在感に大拍手がわき起こった



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