2009年(平成21年) 6月27日(土)付紙面より
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新たな地域特産品として鶴岡市櫛引地域で栽培されているヤーコンを使った試作メニューの求評会が25日、同市下山添の「イル・ケッチァーノ」で行われた。温泉旅館や食品関連企業の関係者らがイタリアンレストランのアル・ケッチァーノオーナーシェフの奥田政行さんが試作したソテーやマリネなどの料理を試食し、意見交換した。
ヤーコンは南米アンデス原産のキク科の根菜。サツマイモのような形で、味や歯ざわりは和ナシに似ており、生でサラダ、油でいためるなどして食べる。ポリフェノールを大量に含み、老化やがん、動脈硬化の予防につながる機能性野菜として注目されている。収穫時期は10月下旬から11月上旬。
櫛引地域では9年ほど前から栽培が始まり、2005年には生産者が「ヤーコン栽培研究会」(畑山力会長、会員24人)を設立。07年度からは県の食産業クラスター創造事業「食農連携プロジェクトシーズ熟成」(3カ年)に採択され、県庄内総合支庁農業技術普及課と同研究会が中心となって栽培技術の確立による高品質、安定生産を目指すとともに、食材としての利用や加工品の開発、商品化に取り組んでいる。
そのものを食材として使った試作メニューの求評会は、市櫛引学校給食センターが昨年3月に試作した「ヤーコンカレー」などの求評会に続いて2回目。今回は、同農業技術普及課や同研究会、加工業者などに加え、ヤーコンの特徴を理解した上でそれぞれのメニューに取り入れてもらおうと、湯野浜、湯田川の各温泉旅館の調理長やおかみ、食品関係企業の研究員や企画開発担当者など合わせて約30人が出席した。
同農業技術普及課の担当者がヤーコンの特徴や栽培状況を説明した後、奥田さんが、JA櫛引農工連が試作した缶詰のヤーコンで調理した「庄内浜ゆでの紅ズワイガニとおろしヤーコンブラックペッパー」「タラとヤーコン汁」「庄内牛とヤーコンのシンプルソテー」「ヤーコンとブリ」「ヤーコンマリネ」など7品を調理実演を交えながら紹介。調理法について「素材が良いので調味料はなるべく使わない方がいい」「試作メニューを皆さんでアレンジして」とアドバイスした。
参加者の試食では、「ブリ大根風」のヤーコンとブリについては「シンプルだがヤーコンの甘みが感じられておいしい」、庄内牛とのソテーでは「牛肉との相性がいい」など好評だった。
同農業技術普及課によると、櫛引地域では本年度、92アールでヤーコンを栽培。低収量で長期保存が難しいなどの課題があり、本年度は栽培技術確立の取り組みを継続するほか、一次加工技術の確立としてペースト化の方法の検討などを行うという。
ヤーコンを使った試作メニューを味わった