2009年(平成21年) 6月28日(日)付紙面より
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「鶴岡庄内エリア」として本年度に文部科学省の採択を受けた都市エリア産学官連携促進事業の初会合が26日、鶴岡市の東北公益文科大大学院ホールで開かれた。事業に参画する慶應義塾大先端生命科学研究所や山形大農学部などの研究機関や民間企業の担当者が出席し、それぞれが今後取り組みを進める研究テーマを紹介した。
連携促進事業は、大学などの「知恵」を活用して新技術を生み出し、新規事業の創出や研究開発型の地域産業の育成などを図るもの。本年度の採択は全国6地域で、「鶴岡庄内エリア」は東日本で唯一選ばれた。庄内地域産業振興センター(理事長・富塚陽一鶴岡市長)が事業の実施主体となり、全体のマネージメントを担当する。
鶴岡庄内エリアでは地域内の先端・高度なバイオ技術を生かし、地域農産物の機能性成分の有効性を検証・評価する手法を確立して新たな食品加工技術や機能性食品の開発につなげる。将来的には農産物、食品による高機能食産業の振興を目指していく。
研究テーマは3つ。「地域農産物の機能性成分探索と機能評価システムの構築」では、世界トップクラスのメタボローム解析技術を持つ慶大先端研が中核となって研究を進める。「機能性を生かした食品加工開発と商品開発」は山大農学部が中心となり、地元の企業や農協などと連携して開発に取り組む。庄内柿やふきのとうなどを素材にした「農作物の機能性を高める栽培技術の開発」は、県農業総合研究センターがリーダー役を担う。
研究事業に参画する機関・団体や企業の各担当者の顔合わせを兼ねた初会合には約40人が出席。科学技術コーディネーターを務める工学博士の梅津勇さんが事業の推進体制や全体スケジュールを説明し、「庄内のポテンシャルを生かし、地域の産物を活用した産業クラスターを構築するのが研究事業の目的。持続的な発展に向け、研究機関と企業の連携の仕組みを作り上げたい」と呼び掛けた。
引き続き、各担当者が研究テーマを発表。慶大先端研や山大農学部、県工業技術センター庄内試験場などが、それぞれで取り組む研究内容を紹介した。事業期間は本年度から3年間で、文科省から年間1億円の研究委託金が提供される。
研究事業に参画する機関・団体が集まり、研究テーマを紹介した