2009年(平成21年) 7月15日(水)付紙面より
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東北公益文科大地域共創センター(所長・伊藤眞知子副学長)主催の「公益教養プログラムFORUM21」が13日、酒田市の同大公益ホールで開かれ、中央大総合政策学部教授で地雷廃絶日本キャンペーン運営委員の目加田説子さんと、評論家で公益大客員教授の佐高信さんが、「地球規模の問題―私たちにできること」をテーマに対談した。
だれでも参加できる課外の教養講座として、学内外の講師を招き幅広いテーマで開催している。
この日はまず、目加田さんが講演。車いす生活を送る奈良県の女子生徒の中学校入学許可をめぐり裁判になっている問題を例に挙げ、「このようなローカルの問題から、日本の障害者に対する取り組みが、世界の中でも遅れていると気付くことがある」と指摘した。
また、多くが不発弾として残って地雷化し、わずかなショックで爆発して無差別、広範囲に被害を及ぼすクラスター爆弾について解説。2003年に世界80カ国、約300のNGO(非政府組織)の連合体が組織され、クラスター爆弾の包括的禁止を求めて活動、08年中に同爆弾の使用や製造、移動、備蓄の禁止条約実現を目指す「オスロ宣言」が採択されたことを紹介し、「一人一人の決意によるもの。大事なのは私たちが無力だと思わず、変えたいという意思を示すこと」と呼び掛けた。
続く対談で佐高さんが「日本は他国からどう見られているか」と質問。目加田さんは「かつては『アジアのスイス』と言われた。近年は自衛隊の海外派遣などで見方が変わり、日本の意思とは別にアメリカに加担していると見られている」と分析し、核戦略についても「唯一の被爆国と言い国連では核軍縮の決議を求めながら、アメリカには『核の傘』の継続を要請する。矛盾してはいないか」と疑問を投げかけた。
佐高さんが「日本は引っ張る人が現れない。逆に田母神(俊雄元航空幕僚長)みたいな人が出てくる。その先輩幕僚は、『軍隊が守るのは国の本体。国民の命や財産ではない』と、はっきり言っている」と指摘。目加田さんは、オバマ米大統領の登場を例に挙げ、「そういう人を選ぶことによって、国の政策は変えられると信じたい」と述べた。
佐高さん(左)と目加田さんが対談した公益教養プログラム