2009年(平成21年) 8月8日(土)付紙面より
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国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統芸能「杉沢比山(ひやま)」の現地公演が6日、遊佐町杉沢の熊野神社境内に特設された舞台で、勇壮・荘重に奉納上演された。
杉沢比山は、山伏修験者によって伝承された神楽「番楽」の一種。鳥海修験者から村人に受け継がれたらしい。起源は定かでないが、様式などから鎌倉時代まではさかのぼる。すっきりと洗練された美しい型、際立った鮮やかな舞で芸術的価値が高いと評価され1978年、国の重要無形民俗文化財に指定された。
演目は24曲あったが、現在は14曲を継承。神を迎える準備の際の公演とされる「仕組」(8月6日)、神を迎えての公演「本舞」(同15日)、神を送るときの公演「神送り」(同20日)の3回を現地公演として同神社に奉納している。
今年の「仕組」は、山の端から満月が顔を出し始めた午後7時すぎから、同神社に棟続きの特設舞台(約3・6メートル四方)で上演開始。囃子(はやし)と謡だけの「かけ謡」を皮切りに、少年による五穀豊穣(ほうじょう)の舞「三番叟(さんばそう)」、女装した2人が鳥かぶとをかぶって舞う「みかぐら」、神の前で雌雄2羽の鶏が戯れ合う様を演じる「鳥舞」、赤い装束の舞手が刀をくわえて逆立ちしたり曲芸的な演技を見せる「猩々(しょうじょう)」など10曲が次々と披露された。
このうち三番叟は遊佐中1年、今野恭碩君(13)と酒田市の富士見小6年、今野智栄君(11)が一人一人上演。ともに3、4年目の“ベテラン”とあって扇などを使った難しい振りや素早い動きを美しくこなし、酒やジュースを片手に地元の伝統芸能を楽しむ観客から大きな拍手を受けていた。
「本舞」「神送り」の番楽も午後7時ごろから行われる。
扇と鈴を手に少年が活発、華麗に舞う三番叟の一場面。写真は今野恭碩君