2009年(平成21年) 8月18日(火)付紙面より
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庄内町家根合地区の住民が取り組んでいるメダカ保全活動の10周年記念大会が16日、同地区の家根合保全池周辺で行われた。余目第一小学校の児童の総合学習活動をきっかけに、地域を挙げた取り組みに広がった10年を住民たちが振り返るとともに、環境保護の大切さを再認識した。
家根合地区は1999年から4カ年で行われたほ場整備事業により、水田の用水路が地中に埋められた。当時の余目町立余目一小の5年生が、水路に絶滅危惧(きぐ)種のメダカがすんでいることを知り、「メダカを救おうSOS大作戦」という救出活動を99年夏から秋にかけて実施。地元住民や町、県などを巻き込んだ保全活動のきっかけとなった。
その後、家根合保全池が地区内に設置され、2003年には保全池を管理するNPO法人「家根合生態系保全センター」を地元農業者たちが設立。07年から保全池で増えたメダカを稲の育成期間中に田んぼへ戻し、「メダカがすめる田んぼで育った安全・安心なコメ」として「メダカライス」を町内外に販売、PRしている。
記念大会は家根合生態系保全センターや町、余目一小などが実行委員会(佐藤昭一委員長)を組織して企画。地元住民をはじめ県や町関係者など合わせて約100人が出席した。
メダカの救出活動が行われた当時、余目一小の校長を務めていた木村稔さんが記念講演で、「99年当時、子供たちと地元住民の皆さんの間でメダカを守っていくことが約束され、今も続いているのは素晴らしいこと」と振り返り、「メダカの保全活動は人や自然に優しい心、思いやりの心を育ててくれる。今後も活動を続けてもらいたい」と話した。
また、現在の余目一小の5年生6人が“メダカメッセージ”を発表。「メダカのことをもっと知りたい」「後輩に保全活動を引き継いでほしい」と活動への思いを話した。
会場ではメダカすくいや地元の伝統芸能の獅子踊りが行われたほか、「メダカライス」で作ったおにぎりや純米酒の試食・試飲コーナーも設置され、大勢の地元住民たちでにぎわった。
元余目一小校長の木村さん(左端)が、メダカ救出作戦の思い出を語った