2010年(平成22年) 2月7日(日)付紙面より
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今年3月で退職する東北公益文科大の教員による最終講義が4、5の両日、酒田市の同大で行われ、教授6人が「公益学」への熱い思いなどを語り教壇に別れを告げた。
公益大の教育・研究活動に尽力してきた教員から、学生や市民に最終講義という形でメッセージを送ってもらおうと、初めて企画。4日は福嶋壽、宮本忠、大島美恵子の3教授、5日は間瀬啓允、高橋英彦、小松隆二の3教授が講義した。
このうち前学長の小松教授は“トリ”で登壇。「研究学徒として50年―社会政策、ニュージーランド学、そして公益学へ」と題して授業を行い、学者としての出発点となった慶應義塾大と同大学院時代の思い出を皮切りに、専門のニュージーランド研究や公益大誕生までの経緯などを、ユーモアを交えて講義した。
その中で小松教授は、「14、15年前、県から庄内に大学をつくりたいという話を受け協議したが、一度は破談になった。再度、取り組んでできたのが公益大。少子化が見え見えで、何か特徴のある大学でなければと考え、どこにもない学問として公益学に着目した。当時の高橋和雄知事に示すと、『これからは大事なテーマ』と喜んでくれた」と打ち明けた。
また、「庄内に大学が根付かないような日本ではだめ―という思いで頑張った」とし、学生たちには「公益学を学問としてしっかり確立する取り組みをしてほしい」とエール。大学当局や地域に対しては「初心を忘れずに。ただ、こだわってはいけない。若い人が中心になって常に改革を進め、ぜひ、いい大学にしてほしい」と要望した。
最後に「庄内は大変、素晴らしい所。『庄内を見て死ね』となるよう、ハンデを乗り越えていいまちにしてほしい」と結び、大学関係者や親交のあった人から贈られた花束を手に、10年間にわたって講義した教室を後にした。