文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2010年(平成22年) 2月13日(土)付紙面より

ツイート

生きる勇気もらった 児玉さん藤沢作品への思い語る

 俳優の児玉清さん(76)を招いた講演会が11日、酒田市の東北公益文科大公益ホールで開かれた。「今だからこそ読んでもらいたい作家」とする故藤沢周平さんの作品と自らの人生のかかわりなどを熱い語り口で披露。藤沢作品と出会い「勇気をもらった」「人生の指針が決定的になった」と述べ、「日本人の心を取り戻すために、少しでも多く藤沢作品を読んでもらいたい」と呼び掛けた。

 児玉さんは東京都出身。学習院大文学部卒業後、東宝映画のニューフェイスに合格。黒澤明監督作品など数多くの映画に出演した。1967年にフリーとなってからはテレビに舞台を移して活躍。現在はNHK大河ドラマ「龍馬伝」で坂本龍馬の父親・八平役を務めている。芸能界きっての読書家としても有名。

 この日は「藤沢周平と僕の人生」と題し講演。「腰掛けのつもり」で始めた俳優業だったが、若手スターから面と向かって「ざこ」と言われ「このままではやめられない」と決意したものの、いわれのない中傷で苦しんでいた。そんなときにたまたま藤沢作品と出会い、「平易な文章だが心の動きを簡潔に描く洞察力の鋭さ」に驚き、「ただの正義ではなく、人間の在り方そのものを問うこの作家は、正しいと思った」という。

 また、「一連の作品の中でも『蝉しぐれ』に圧倒された。人生の指針が決定的になった。好きな場面はたくさんあるが、人間の心を知る人だけしか書けない」と述べ、主人公と父親の気持ちを思って感情が高ぶり、言葉を詰まらせる場面も。

 さらに「藤沢さんには、心の中だけは誰にも侵されない。心さえしっかりしていれば生きていけると、勇気を頂いた」と語り、「その藤沢さんを生んだ庄内、鶴岡には日本の良さ、素晴らしさが残っている。まして藤沢作品を愛する人には日本を愛する心が残っていると思う。日本語も滅びつつある。日本人の心を取り戻すためには、少しでも多く藤沢作品を読んでもらうことが必要」と語り掛けた。

 講演会は、地域振興を目的に設立された「北前船庄内」(本社・酒田市、社長・新田嘉一平田牧場会長)が、経済産業省に採択された「北前船で栄えた湊(みなと)町酒田・庄内の旅着地型商品造成観光集客事業」の一環で開催した。「庄内ひな街道」の観光集客モニターツアーに組み込まれており、新田社長が「庄内の旅が良い思い出になることを祈る」と歓迎の言葉。首都圏や新潟、秋田両県から訪れたツアー客160人を含む、約1000人が聴講した。

児玉さんが自らの人生と藤沢作品とのかかわりを熱く語った
児玉さんが自らの人生と藤沢作品とのかかわりを熱く語った



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field