2010年(平成22年) 2月13日(土)付紙面より
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酒田市山元の旧阿部家(市指定文化財)で11日、小正月行事が繰り広げられ、子供たちがナシだんご作りや雪中田植え、かまくら参り、廿日灸(はつかきゅう)など、地元に伝わるさまざまな昔の遊びや風習などを体験した。
旧阿部家は、1690(元禄3)年に建てられた肝煎(きもいり)(名主)の住宅。江戸時代中期以降の農村の暮らしを知る貴重な建物として、旧平田町が1984年に文化財指定した。89年に修復し、一般公開している。
小正月行事は、地域の伝統文化をみんなで楽しみながら受け継いでいこうと、「阿部家の四季を楽しむ会」(佐藤光宣会長)と市教育委員会が毎年この時期に開いている。
地元の田沢小をはじめ旧酒田市地域の小学生や園児、保護者ら約50人が参加。同会メンバーに手伝ってもらいながら午前中は、もちつきやナシだんご作りほか、雪が積もった前庭を田んぼに見立て、稲わらと豆がらの束を手植えして豊作を祈る雪中田植えや、そり滑り、雪合戦などを行った。
雑煮もちの昼食を取った後、逆さにした皿の上にソフトボール大に丸めたもぐさを載せ、火を付けてから頭や肩、おなか、足などをさすって無病息災や能力の進展などを願う廿日灸を体験。同会の長谷部善也さんが、昔は1年間の無事を祈って正月の20日にこのお灸を据えたことが名前の由来と解説してから、佐藤会長とともに参加者一人一人に施した。
もうもうと煙が立ち上がる皿を頭などに載せてもらった田沢小2年の奥山瞬君(7)は「煙は、いいにおい。(お灸は)熱くなかった。これで頭が良くなるような気がする」と笑顔で話した。
参加者はほかにも、庄内町の「ダシ風物語記念館」館長で民話語りや講演などを行っている長南一美さん(同町狩川)の昔話に耳を傾けたり、かまくら参りや塞道焼きに興じるなど、かつての小正月行事を堪能していた。