2010年(平成22年) 2月16日(火)付紙面より
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酒田市黒森地区に伝わる農民芸能・黒森歌舞伎の正月公演が15日、同地区の日枝神社常設演舞場で奉納上演された。今年の本狂言は「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」。黒森小学校男子児童による少年歌舞伎も上演され、県内外から訪れた見物客は伝統芸能と子供たちの愛らしい演技を満喫した。
寒さの厳しい毎年2月中旬に奉納上演されることから、「雪中芝居」とも呼ばれる。1997年には文化財保護法に基づく「記録作成などの措置を講ずべき国選択無形民俗文化財」に選ばれた。
今年の狂言「義経千本桜」は正月公演としては93年以来の上演。「菅原伝授手習鏡(すがわらでんじゅてならいかがみ)」「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」と並んで、日本狂言の三大名作の1つに数えられており、平知盛、維盛、教経の生涯を源義経の視点で描いている。今回は、いずれも見どころの多い「伏見稲荷鳥居前の場」と「釣瓶鮓(すし)屋の場」を上演した。
少年歌舞伎は「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」の中の一幕「稲瀬川勢揃いの場面」。盗賊5人が橋の上で自己紹介し合う「白浪五人男」を堂々と演じた。
この日は積雪はないものの、時折小雪が舞う天候。見物客たちは客席で弁当を広げ、酒を酌み交わしながら役者が口上を述べたり、見えを切るシーンでは拍手を送ったり、カメラのシャッターを盛んに切っていた。