2010年(平成22年) 2月26日(金)付紙面より
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初代監督(館長)が鶴岡出身と庄内に縁がある慶應義塾図書館(慶応義塾大三田メディアセンター)。同館が所蔵する酒井家の藩主や家老らの書状をまとめた「先賢主翰(せんけんしゅかん)」など3点を特別展示した「庄内藩酒井家美術資料展」が、鶴岡市の致道博物館で開かれている。3点の地元での公開は初めて。
3月1日から御隠殿で始まる「鶴岡雛(ひな)物語」に合わせた郷土史料展。同図書館から借り受けた3点を含め、初代・忠次から2004年2月に亡くなった第17代・忠明氏まで歴代当主の書や絵画合わせて35点を展示した。
慶應義塾図書館は明治末に設置され、初代監督は鶴岡出身で大学部教員だった田中一貞氏が務めた。その後も「庄内閥」と呼ばれるほど庄内出身者が多く勤務したことから、庄内にかかわる史料も所蔵。今回借り受けたのは「先賢主翰」をはじめ、酒井家の嫡子が江戸城へ登城する際の行列を記した絵図「荘内酒井候嗣子江戸登場行列図」、明治期に北海道桑園開拓に派遣された庄内士族・堀三義の「北役日誌」の3点。
このうち松ケ岡開墾の実績から指導を要請され、札幌で桑園開拓に携わった堀が書いた「北役日誌」では、酒田港からの出発や当時の札幌の様子が挿絵などを交えて克明に記されている。訪れた人たちは貴重な史料をじっくりと眺め、地元の歴史に理解を深めていた。