2010年(平成22年) 3月2日(火)付紙面より
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庄内地方や新潟県村上市の旧家などに数多く残る雛(ひな)人形を巡る「日本海ひな街道」が1日、本格的にスタートした。今シーズンは庄内全市町の計26カ所と村上市内の町屋などで雛人形を展示し、春を華麗に彩る。
旧家や文化施設などにあるひな人形の広域的な展示は、庄内観光コンベンション協会が春のテーマ観光事業「庄内ひな街道」として2000年度から毎年実施してきた。今回から、庄内5市町を中心に秋田、新潟の3県10市町村エリアで滞在型観光の確立を目指して活動している日本海きらきら羽越観光圏推進協議会(会長・榎本政規鶴岡市長)の事業の一環として村上市のひな展示も加えて展開。2月3日からの酒田夢の倶楽「華の館」を皮切りに、ほとんどの会場で3月1日までに公開がスタートした。
展示会場の一つ、鶴岡市の致道博物館では御隠殿で1日から始まり、庄内藩酒井家に伝わる雛人形や雛道具、市内11菓子店による雛菓子などが展示されている。
江戸時代後期の頭が象牙製の古今雛、京都で作られた有職雛、倹約令が出されて3寸(約9センチ)以上の雛人形が禁止された際に作られた小さく愛らしい芥子(けし)雛など表情豊かな各時代の雛人形、歴代藩主に田安徳川家や熊本藩細川家から輿入れした姫君が持参した江戸中期や後期の雛道具、酒田市内の個人から借り受けた明治から大正にかけての古今雛、竹久夢二作の雛図などが展示されている。
このうち、雛道具は牛車や長持、棚、文机、御膳、将棋盤や貝合わせといった遊び道具など、職人技が光る精巧なつくりの逸品が並び、来場した人たちは一つ一つに見入っていた。