2010年(平成22年) 9月15日(水)付紙面より
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世界の「次世代基準」の建築デザインに贈られる「リーフ賞」で、鶴岡市山王町の映画館「鶴岡まちなかキネマ」が商業建築部門の最終選考の4作品に選ばれ、入選した。世界中から応募のあった中で入選したことについて、まちキネを運営するまちづくり鶴岡は「地元の産業に根付いた昭和初期の建物をそのまま生かした、木のぬくもりあふれる映画館が世界から認められた」と話している。
リーフ賞は欧州主要建築家フォーラムが主催し、今年で7年目。当初は欧州中心としていたが、近年は全世界を対象にした建築賞となっている。今年は全10部門に日本の16作品を含む計173作品の応募があり、今月10日にロンドンで各賞が発表された。
まちキネは、鶴岡特産の絹織物工場だった松文産業旧鶴岡工場の建物のうち、木造平屋建ての工場を改修して今年5月にオープンした。昭和初期の建物の特徴を生かし、天井を支える小屋組みをそのまま活用するなど内外装ともに木を最大限に利用した和の雰囲気あふれる映画館として再生した。設計は、高谷時彦東北公益文科大大学院教授が担当した。
まちづくり鶴岡によると、商業建築部門の最終選考にはまちキネのほか、ブラジル、デンマーク、オーストラリアの建築物が選ばれた。また、リーフ賞全体の最高賞には今年のサッカーワールドカップで決勝戦の会場となったスタジアムが選ばれたという。
世界的建築賞の部門賞に入選し、まちづくり鶴岡の小林好雄社長は「昭和初期の建物を再生した木のぬくもりあふれる映画館が、次世代基準の建築物として世界的に評価され、うれしく思う。映画関係者や県内外から視察に訪れる専門家などからも高く評価してもらっており、建物の見学を含め、より多くの人から訪れてもらえる映画館にしていきたい」と話している。