2010年(平成22年) 9月19日(日)付紙面より
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鶴岡市の加茂水産高校(三浦幸雄校長、生徒173人)の2年生18人を乗せた漁業実習船「鳥海丸」(453総トン、本間正利船長)が18日、酒田市の酒田港東埠頭(ふとう)を出港した。来年4月に新実習船就航が決まっており、現在の4代目鳥海丸としては最後の航海実習。さらに新実習船は中型(233総トン)で遠洋に出ることができないため、1955年の初代鳥海丸就航以来、55年にわたって続いた同校の遠洋航海実習も今回が最後。55年間の思いを胸に、最後の遠洋航海実習生たちは74日間にわたり多くのことを学んでくることを誓った。
遠洋航海の実習体験を通し、漁業について理解を深めてもらうとともに、米国ハワイ州を訪れ、現地の県人会員らと交流を深めることを目的にして同校が毎年、海洋技術科2年生を対象に実施。太平洋・ハワイ沖でマグロはえ縄漁を体験するほか、回遊状況や資源量などを調査する。
4代目鳥海丸は92年に就航。今回、およそ17年といわれる実習船耐用年数の経過を受け来年4月の新実習船の就航が決定。三浦校長によると、初代鳥海丸就航以来、55年間で2277人の生徒が遠洋航海実習を体験したという。同校によると、新実習船就航後は日本近海での航海実習のみとなるという。
東埠頭で行われた出港式では、実習生と同船乗組員らが鳥海丸の前に整列。三浦校長が「4代目鳥海丸として最後の航海が始まる。遠洋航海実習も最後。海は人間を育てる場。多くの経験を身に付ける場として、ひと回りも、ふた回りも心身ともにたくましくなり帰ってくることを願う」とあいさつした。
実習生らが1人ずつ抱負を述べた後、本間船長が「55年も続いた遠洋航海実習が私の代で途絶えるのはさびしいが、18人の生徒とともに精いっぱい頑張ってくる」、実習生を代表し佐藤真也君が「多くの先輩の思いが詰まったこの船で、多くのことを学んでくる。行ってきます」とそれぞれ述べた。
全校生徒と実習生の父母らによる五色のテープが舞う中、実習生を乗せた同船はハワイ沖を目指し出港した。同船は実習を経て11月15日(日本時間)にホノルル港に入港し4日間滞在。同30日に神奈川・三崎港に到着し12月2日に鶴岡市に戻る予定。