2011年(平成23年) 8月13日(土)付紙面より
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バイオサイエンスの研究に取り組む全国の高校生が集う「高校生バイオサミットin鶴岡2011」が11、12の2日間にわたり、鶴岡市千安京田のいこいの村庄内を主会場に開かれた。約120人が参加し、コンテスト形式の研究発表で第一線の雰囲気を味わうとともに、お互いの研究に触れ交流を深めた。
次代のバイオサイエンスを担う人材育成などを狙いに、県と鶴岡市、慶應義塾大先端生命科学研究所が実行委員会(実行委員長・冨田勝同研究所長)をつくり、初めて開いた。
研究発表には、北は秋田県から南は熊本県まで全国27高校の97人が参加し、計40テーマを発表した。そのうち庄内関係は鶴岡南、鶴岡中央、鶴岡工業、加茂水産の4校の19人が8テーマ。そのほか、オブザーバー的な一般参加として米国の1人を含む高校生21人も参加した。
初日の11日はいこいの村庄内で開会式の後、研究発表の予選が行われ、参加者はそれぞれ自作のポスターの前で研究成果を発表。国内外の研究者の審査員10人が「生徒本人がよく考えているか」「楽しく研究しているか」など、研究への主体的なかかわりや興味の度合いを重視して審査した。審査員や他校生徒と真剣な表情で質疑応答し、会場は熱気に包まれた。
水田土壌の微生物を使った発電について発表した鶴岡南高2年の南葉一輝君(16)は「緊張したが、言いたいことは伝えることができた」、成長を促す植物ホルモンを研究した鶴岡工業高3年の佐藤海斗君(17)は「周りはかなりマニアックな研究が多いので、とても刺激になる」、大腸菌に色素を大量生産させる研究をした鶴岡中央高3年の石井隆之君(17)は「分からないことを質問されたりして、勉強になる」、植物に音楽を聞かせ成長との関係を調べた佐野日大高(栃木県)2年の武本侑子さん(17)は「対外的な発表は初めて。面白い研究だとか言われると、とてもうれしい」とそれぞれ生き生きした表情で感想を話した。
冨田所長は「日本の教育を変えたい。生徒は受験勉強で疲弊している。もっと楽しんで取り組むこうした自由研究を重視すべき。日本はサイエンスのワールドカップで優勝しないといけないが、今は日本代表選手を育てる教育をしていない。こうした取り組みが全国に広がってほしい」と開催への思いを語った。
予選で約10テーマが12日の決勝戦に進み、さらに審査で優秀作が表彰された。12日は慶應大先端研バイオラボ棟(鶴岡市大宝寺)の見学も行った。