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2011年(平成23年) 1月25日(火)付紙面より

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藤沢周平さんしのび「寒梅忌」 追悼式や作品解説

 鶴岡市出身の作家・藤沢周平さんをしのぶ「寒梅忌」が23日、鶴岡市中央公民館で開かれた。追悼式が行われるとともに藤沢作品の解説、劇団による朗読劇などが披露された。また、作家のあさのあつこさんが記念講演し、物書きとしての出発点に藤沢作品がかかわったことなどを語った。

 寒梅忌は、鶴岡藤沢周平文学愛好会(萬年慶一代表)が藤沢さんの命日の1月26日に合わせ、2000年から毎年1月に開いており今回で12回目。今回は地元や県内各地、仙台、関東圏、新潟、長野、関西などから同愛好会の会員や一般ファン合わせて約400人が参加した。

 はじめに追悼式が行われ、ステージに掲げられた笑顔の藤沢さんの遺影に黙とうをささげ、萬年代表が「藤沢さんは人や自然がつながり合い、助け合って生きていくことの大切さをいろんな作品で表現しておられた。こうした藤沢周平の世界が、この寒梅忌で広がるきっかけとなれば」とあいさつした。

 しのぶ会は2部構成で、第1部は同愛好会顧問の松田静子さんが、鶴岡市の三瀬地区を舞台にした藤沢さんの小説「三年目」について「『三年目』では、主人公・おはるが待つことから追うことを決意する心情が描かれており、藤沢作品の女性像をよく表している」と、映像を交えながら解説した。続いて鶴岡市を拠点に活動している劇団「表現舎 刻一刻」が「三年目」を朗読劇で披露した。

 第2部はあさのさんがステージに登場し、萬年代表と対談形式で講演。「東京の大学を卒業後、目指す作家になれず古里の岡山県へ戻って結婚した。子供も生まれ、書くことから逃げていた時期に本屋で手に取ったのが藤沢さんの短編集『橋ものがたり』だった。読んだ時、あまりにも鮮烈な文章に感動し、あっという間に引き込まれた。それをきっかけに、『自分はただ(小説を)書きたくて、ここまで生きてきたのではないか』と自分の原点に立ち戻ることができた」と作家デビューのきっかけについて語った。

 また、「藤沢さんが愛したものは人の成長や成功のプロセスではなく、さだめに流されつつもぎりぎりのところで踏みとどまり、自らの分をわきまえながら生きていく、そんな清廉な生き方だと思う。庄内の地にはそれがある」と話し、「庄内はどこに行っても藤沢さんがいるような気がした。古里を愛し古里から愛されたから、作品にあの風景を書くことができたのではないか」と、女性らしい視点から藤沢作品の魅力について語った。

作家・あさのあつこさんが、藤沢作品との巡り合いや魅力について語った
作家・あさのあつこさんが、藤沢作品との巡り合いや魅力について語った


2011年(平成23年) 1月25日(火)付紙面より

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「雪の能」魅了 まつやま大寒能

 「雪の能」として親しまれている「まつやま大寒能」が22日、酒田市松山文化伝承館で行われた。松山地域の演能団体「松諷(しょうふう)社」が「松山能」(県指定無形民俗文化財)のうち「大江山」を上演。市内外から訪れた約120人の観客を、幽玄の世界に引き込んだ。

 松山能は江戸勤番の松山藩士が修得。明治維新後は松諷社に受け継がれ、現在まで続いている。大寒能は寒さが最も厳しいこの時期に行われ今年で20回目。6月の「花の能」(羽州庄内薪(たきぎ)能)、8月の「月の能」とともに、3定期公演の一つになっている。

 「大江山」は、一般に「大江山の鬼退治」として知られ、鬼畜や天狗(てんぐ)、妖精など人間以外をシテ(主役)とする「五番目物」の一つ。大江山にすむ鬼・酒呑童子(しゅてんどうじ)の討伐を命じられた源氏の武将・源頼光とその家臣らが、山伏姿に変装して大江山を訪れ一夜の宿を頼む。童子は自分を退治に来たとも知らずに酒でもてなし、酒杯を重ねる。やがて寝入った酒呑童子を、武装を整えた頼光主従が力を合わせ、激しい戦いの末に討ち取るという物語。

 前シテの鬼はかれんな童子の面で現れ、無邪気な様子を表現。後シテの鬼は顰(しかみ)の面をつけ、酒呑童子の本性を表すとともに裏切られた悲しみも漂わせる。

 この日は、降り積もった雪の上をさらに新雪が覆い、「雪の能」にふさわしいロケーションが整った。午後1時20分、狂言「鬼清水」で開演。同館内に特設した能舞台で繰り広げられる太郎冠者と主人の楽しい掛け合いに、会場は笑いに包まれた。

 続いて大江山を上演。前場の穏やかさが後場で一変。観客らは、太刀を抜いた頼光らと酒呑童子が太鼓の音とともに戦いを繰り広げるクライマックスを、かたずをのんで見入り、終演後には大きな拍手を送っていた。

鬼神の本性を現した酒呑童子と刀を抜いた頼光主従が立ち向かい「大江山」がクライマックスを迎えた
鬼神の本性を現した酒呑童子と刀を抜いた頼光主従が立ち向かい「大江山」がクライマックスを迎えた



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