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荘内日報ニュース


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2011年(平成23年) 10月9日(日)付紙面より

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台湾からの義援金活用し芋煮 庄農生が女川で炊き出し

 鶴岡市の県立庄内農業高校(諸原正巳校長、生徒308人)の生徒たちが8日、宮城県女川町の避難所に炊き出しボランティアに出掛けた。昨年に修学旅行に行った台湾の高校から送られた義援金を活用した活動で、生徒たちが調理した芋煮約300食を運び、被災者に振る舞った。

 同校では昨年11月、当時の2年生約100人が初めて台湾に3泊4日の修学旅行に行った。その中で国立苗栗高級農工職業学校を訪問し、生徒たちと交流を深めた。東日本大震災の惨状を知った苗栗校の生徒や教職員たちが今年4月、庄内農業高に義援金を送付。同校では生徒会が中心になって、その活用方法を検討していた。

 女川町に炊き出しに向かったのは、昨年に台湾に行った生徒会役員や希望者の3年生16人と、教職員約10人。

 7日の放課後に同校食品製造室で行われた芋煮作りには生徒と教職員合わせて約10人が参加。食肉の平田牧場(酒田市)が趣旨に賛同して無償提供した豚肉30キロや生徒が育てたネギをはじめ、サトイモ、シイタケ、コンニャク、厚揚げを大鍋で煮込み、みそ味の庄内風芋煮約300食を作った。

 生物環境科3年生の阿部友加里さん(18)は「台湾から義援金が届いたと聞いたときはびっくり。交流がそのとき限りのものでないと感じ、とてもうれしかった。そんな台湾の人たちの気持ちを、被災地の人たちに伝えてきたい」と話した。

 8日はマイクロバスなど車両4台に芋煮とおにぎり約600個、飲み物を積み、午前6時半ごろに同校を出発。避難所では除草などのボランティアも行い、同日夜に帰る予定。

炊き出し用の芋煮を作る庄内農業高の生徒ら=7日午後、同校で
炊き出し用の芋煮を作る庄内農業高の生徒ら=7日午後、同校で


2011年(平成23年) 10月9日(日)付紙面より

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小玉傾向も品質良好 庄内柿目揃会

 本年産庄内柿の本格出荷を前に、出荷規格を統一する目揃(めぞろえ)会が7日、鶴岡市羽黒町荒川のJA庄内たがわ中部選果場で開かれ、各農協の選果人たちが出荷規格を確認した。

 目揃会は庄内柿の安定販売に向け、品質の平準化を図ろうと、毎年開かれている。JA全農山形園芸部庄内園芸課によると、今年は3―5月上旬の低温の影響で発芽期が2週間ほど遅れたが、6月以降は天候に恵まれ、ほぼ前年並みの生育で推移している。例年よりやや小玉傾向だが品質は良好。早生種の「刀根」や「石橋」の収穫はスタートしており、主力品種の「平核無(ひらたねなし)」は今月中旬から始まり、11月初旬にピークを迎える見込み。

 この日は選果人、県や市の農政担当者など約50人が参加。全農の担当者が着色や形状について、申し分のない「赤秀品」やわずかに傷がある「優品」などのほか、病害虫の被害にあったサンプルを示しながら「今年は心配された台風や病害虫の目立った被害が報告されておらず順調。選果人同士で情報交換し、消費者においしい庄内柿を届けられるようお願いします」などと説明した。

 同庄内園芸課によると、今年の出荷量は約3540トン(前年実績比105%)を見込んでおり、北海道をメーンに東北、関東、大阪の各市場に出荷されるという。

庄内柿の出荷規格について全農担当者から真剣に説明を聞く選果人たち
庄内柿の出荷規格について全農担当者から真剣に説明を聞く選果人たち


2011年(平成23年) 10月9日(日)付紙面より

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森の時間45 ―山形大学農学部からみなさんへ―

悪魔のプログラム 小山 浩正

 電卓が出回ったのは10歳ごろでした。最初に手にした時の歓喜は今でも忘れません。「これで算数とサヨナラできる」と思ったからです。そんな浅はかな期待が直ちに打ちのめされたのは当然ですが、電卓が私たちの生活を便利にしたのは確かです。やがてコンピュータの時代となり、処理速度も格段に速くなりました。「ムーアの法則」という経験則によれば、その性能は18カ月ごとに2倍のペースで向上してきたそうです。だから、少し前にできなかったことも今ならできる。確かにそれはすごいのだけれど、果たして幸せなことなのか? 次に紹介する男の話で考えてみませんか。

 かつて「マッキントッシュ男」と呼ばれた同僚がいました。コンピュータが好きで、わずかなボーナスはすべてアップル社の最新型マッキントッシュ・コンピュータに費やされます。そして「今度はこんなことができる」とか「こんなに速くなった」と実演してくれたものです。最先端の機器で彼が何をするのかというと…仕事をするのです。快適なスピードで今まで以上にバリバリ業務をこなし、その報酬として手にした次のボーナスをまた次のマッキントッシュに注ぎ込む。そうして彼の仕事は一層はかどるのでした。う?ん、なんか釈然としない。妙な循環に陥ってない?

 しかし、この循環に飲み込まれているのは彼だけではありません。考古学者の小山修三さんによれば、はるか昔にアフリカを出た人類は、森林地帯を避けて海岸沿いにアジアへ拡散しました。農耕が発明されると森にも手がかかりますが、当初は相当な難事だったでしょう。長い間、森は人類にとって克服すべき相手だったのです。

 事態を大きく変えたのは鉄器の登場でした。ある文化人類学者が1本の立木を伐り倒すのに消費するカロリーを鉄斧と石斧で比較したところ、鉄は石の4分の1で済んだそうです。画期的な道具を手に入れた私たちの先祖の前には2つの選択肢が用意されました。ひとつは、それまでと同じ時間を働いて4倍の成果を出すこと。もう一つは、4分の1の時間で以前と同じ仕事量を済ませ、残りは遊びに費やすやり方です。どうやらヒトという種族は、前者を選択するべくプログラムされているようです。せっせと森を開墾し、どんどん食糧を作り、蓄えた力をまた農地造成に費やす。それで栄えた子供たちもまた森の開墾へ…。先のマッキントッシュ男は彼らの正当なる後継者だったのです。環境学者の安田嘉憲さんはそれを「悪魔の循環プログラム」と呼びます。熱帯をはじめ世界の森林が消失し続けるのもこの循環が止まないからです。

 かつては1日8時間の就労時間を手作業で丸ごと費やした計算も今やたった1秒で終わってしまう。ならば残り7時間59分59秒は遊んで暮らしていいはず。いったい何のための進歩なのか。そろそろこの循環から解放されて、ゆっくりいきたいものですけどね。

 おっ!なんだか今日はすんなり書けたぞ。よぉ?し、この調子で次ぎの原稿も書いちゃぉ…ん?

(山形大学農学部教授・専門はブナ林をはじめとする生態学)

登山道に倒れた樹木の伐採。鳥海山にて=自然写真家・斎藤政広撮影
登山道に倒れた樹木の伐採。鳥海山にて=自然写真家・斎藤政広撮影



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