2011年(平成23年) 9月15日(木)付紙面より
ツイート
庄内地方の水田農業に関する研究者や農業者、関係団体などでつくる「庄内水田農業推進機構」(会長・西澤隆山形大農学部長)のワークショップが13日、鶴岡市のグランドエル・サンで開かれ、「日本海側で行う環境保全型農業」をテーマに、技術、支援制度、実践の各立場からの講演などを通じ課題を探った。
同機構を構成する山大農学部や県の研究機関、農業者団体の関係者ら約80人が参加。東北大大学院農学研究科の伊藤豊彰准教授、農林水産省生産局農産部農業環境対策課の橋本陽子課長補佐の各講演と、三川町有機米栽培者協議会の大瀧慶一会長の事例紹介を聞いた。
このうち橋本さんは、本年度から始まった国の「環境保全型農業直接支援対策」を解説。この交付金を受けるための条件として、現行の農地・水・環境保全向上対策の「化学肥料・農薬を5割以上低減する取り組み」に、さらに「カバークロップ(緑肥作物)の作付け」「リビングマルチ(畝間に麦類などの作付け)、草生栽培」「2カ月以上の冬期湛水」の一つを組み合わせるか、「有機農業」に取り組むか、4条件のいずれかをクリアする必要があることをあらためて強調した。
一方、大瀧さんはアイガモ農法などの取り組みとともに、この直接支援に対する現場の声を紹介。「(農地・水・環境の2階建て部分からの移行期間が終わる)来年は、全地区で廃止になるのでは。取り組みをやめたいという人は多い」と、4条件のハードルの高さに疑問を投げ掛けた。
さらに、4条件の中で比較的取り組みやすい冬期湛水について「当地で2カ月の湛水は困難。積雪地帯の地域性を踏まえた支援が必要」と訴えた。
これには会場からも「4項目では難しい。机上の話で、現場のことを分かっていない」と不満をあらわにする人もいた。
これらに対し橋本さんは「4項目以外の支援を、来年度予算の概算要求で示せるように努力している」などと答えた。
そのほか、伊藤さんは、日本の単位面積当たりの農薬使用量が諸外国に比べ突出して高いデータなどを示し、メタンの発生を抑え生物にも優しい不耕起・無代かき栽培などの技術を紹介した。
2011年(平成23年) 9月15日(木)付紙面より
ツイート
庄内の農産物や加工品などを販売する通算10回目の「産直出前便」がこのほど、神奈川県藤沢市の湘南最大級のショッピングセンター・湘南モールフィルで行われた。親子で枝豆のさやをもぐ体験イベントなどで現地の人気を集めたほか、節目の回を記念して、モールフィル側の招待で庄内の小学生親子10組20人も訪問した。
産直出前便は、モールフィルを運営する大手開発業者・大和情報サービスが三川町猪子でショッピングモールを手掛けたのを縁に、三川町が事務局となり、庄内一円の生産者や加工業者などで組織する産直出前便「発っ者・往?来(はっしゃ・お?らい)」実行委員会(長島忠代表)が2008年からスタート。夏、秋、冬春便の年3回、季節の野菜やこだわりの加工品を販売、生産者の顔が見える販売として現地で好評を得ている。
今回は先月末の26、27、28の3日間、モールフィル2階の特設会場で実施。だだちゃ豆やトマト、パプリカなどの旬の野菜のほか、米や漬物、庄内麩(ふ)、ヨーグルト、日本酒、ソーセージなどの加工品などが並んだ。リピーターも多く、顔なじみになった生産者との再会を喜びながら、庄内産の産品を手にした。
また、夏休み特別企画として、1日2回、小学生以下の親子連れを対象に枝つきの豆を外す体験イベントも開催。「枝つきの豆を見る機会はなかなかない」と母親たちにも好評で、庄内の生産者が栽培方法や品種などについても教えた。
一方、200組を超す応募者の中から抽選で選ばれ招待された親子10組のメンバーは、昨夏に庄内を訪れた湘南のメンバーと交流。社会科見学としてモールフィル内を見学したり、横浜中華街や新江ノ島水族館などを観光した。