2011年(平成23年) 9月29日(木)付紙面より
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いっぱい売れるといいなあ―。酒田市の黒森小学校(小林光校長、児童59人)の6年生13人が来月6、7の両日、修学旅行で仙台市に行き、現地のスーパーで自ら栽培してきたサツマイモを販売する。売上金は、東日本大震災で甚大な被害が出た宮城県石巻市に寄付する予定。6年児童は27日、前日に収穫したサツマイモに付いていた土や砂をきれいに洗い流し、出荷に備えた。
酒田市の食育事業を活用し6年生は本年度、学校近くの畑約10アールを借りてサツマイモの品種の1つ「ベニアズマ」を栽培。市農業委員を務める五十嵐弘樹さん(43)=同市黒森=の指導を受け、5月末に苗を定植。草取りや、無駄に伸びた根を切る「つる返し」の作業などを行い大切に育ててきた。
五十嵐さんは「今シーズンは春から夏にかけての雨不足や、東よりの乾いた風が吹き荒れたことから、収量はいまひとつ。だが、甘みのあるホクホクしたものができた」と話す。26日に児童たちが約100キロを収穫した。
栽培とともに6年生は、総合学習の時間を活用し地元の農業について学習。流通経路などを調べたところ、黒森から出荷されたサツマイモが仙台圏で人気が高いことを知った。担任の阿部ゆかり教諭によると、収穫を前にサツマイモの活用方法を相談した結果、「仙台への修学旅行の際に販売し、売上金を大震災の被災地に送ろう」という声が児童から上がったという。
27日の作業には、6年児童と阿部教諭、五十嵐さんが参加。サツマイモが山積みになったかごを水槽に入れ、土や砂をきれいに取り除いた後、丁寧に水を吸い取った。五十嵐拓朗君(11)は「自分たちで育ててきたものが大きくなって、うれしい。売り物にならないものをふかし芋にして食べたら甘くておいしかった。山形の作物は仙台で人気があるということなので、いっぱい売れるといいなあ」と話していた。
指導役の五十嵐さんによると、十分に乾燥させた後、13箱(1箱5キロ詰め)に分け黒森小のマークを張った上で、同市のJAそでうらを通し、来月5日に仙台市中央卸売市場に出荷。同7日に同市泉区のフードマーケットフジサキで、児童が自ら販売する。阿部教諭によると、児童たちは同日のうちに石巻市役所に出向き、売上金と、現在実施している校内募金を義援金として送る予定。
2011年(平成23年) 9月29日(木)付紙面より
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生きた魚の脊髄(せきずい)を素早く壊して血抜きし、鮮度を保つ「活(いけ)じめ」の新たな技法を学ぶ研修会が27日、酒田市の県漁協さかた総合市場で開かれた。
庄内浜で揚がる魚の鮮度保持、品質向上を図り、おいしい魚を提供するため船上での活じめ技術を習得してもらおうというもの。漁業者や漁協、仲卸、鮮魚店、消費者など関係16団体で先ごろ設立された酒田市漁業振興協議会(会長・白崎好行市農林水産部長)が、初めての事業として県漁協とともに開催した。
地元の漁師ら約50人が参加。タイなどの好漁場で庄内沖に位置する明石礁鯛浮縄組合の石塚博明組合長(51)=鶴岡市三瀬=と伊原光臣副組合長(57)=遊佐町比子=が講師を務め、ピアノ線を脊椎(せきつい)に通し、神経を破壊することでできるだけ魚体を傷つけず、商品価値を下げないように活じめする最新の技法を、タイとヒラメで実技指導した。
参加したスズキ専門漁師の佐藤範(のり)さん(62)=酒田市宮野浦二丁目=は「これまでは全部、氷詰めにしていた。しかし、活じめの方が刺し身にすると色がきれいで味もいいようだ。ピアノ線を刺す場所も分かったので早速、船上でやってみる」と感想。
伊原副組合長は「みんなが船の上でひと手間かけ、少しでも鮮度の落ちを遅くすればおいしい状態で食卓まで上がる。そうなれば必ず地元でも認められ、魚価の上昇につながる」、庄内浜文化伝道師でもある石塚組合長は「活じめの方法は日々、進化している。研修会は毎年でも開いた方がいい」と話していた。