2012年(平成24年) 2月10日(金)付紙面より
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庄内空港―台湾・桃園空港間に、直行便として来月まで6往復12便が運航される国際チャーター便の初便が9日午前、台湾人旅行客146人を乗せ庄内空港に到着。羽黒山山伏がほら貝を吹き鳴らし、酒田舞娘(まいこ)が花束を贈り歓迎した。一方、台湾へのツアー客174人がこの機材に搭乗。同日正午すぎ、4泊5日の旅に出発した。到着後は4グループに分かれて台湾を周遊。名所旧跡や、現地で今も敬愛されている日本人ゆかりの地などを訪ねる。
東日本大震災の影響で日本を訪れる観光客が大きく落ち込む中、吉村美栄子知事や新田嘉一東方水上シルクロード貿易促進協議会長(平田牧場会長)らが昨年、酒田舞娘を引き連れて台湾を訪れ、庄内など東北地方に旅行客を呼ぼうとトップセールスを展開。さらに、県などが年間を通じて旅行エージェントなどを台湾から招き、東北を対象にしたツアーの催行を要請した。
このような努力が実り、台湾でも「阿信」として大人気の「おしん」の故郷・山形県を中心に東北各県の観光地を巡るツアーを台湾の各旅行会社が企画し参加者を募集した。一方、到着便を利用し台湾に向かうツアーも県内の旅行会社が企画。チャーター便はそれらのツアー客が搭乗する復興航空機で、来月11日までに台湾と庄内空港、秋田空港の相互乗り入れと、庄内―台湾往復の2形態で計16便、運航される。
9日の便は庄内空港―台湾往復の第1便で、A321を使用。このうち台湾へのツアー客は、台北や高雄、台中の3都市を巡るコースやゴルフを楽しむコースなど、それぞれの好みに分かれて台湾を満喫。13日夕に庄内空港に戻る。
一方、台湾からのツアー客は、山居倉庫などを見学し、同夜は由良温泉、天童温泉などに宿泊。翌日から蔵王の樹氷や世界遺産に登録された中尊寺(岩手県)、松島(宮城県)遊覧、角館(秋田県)散策などを楽しみ13日夜、台湾から戻るツアー客を乗せて庄内空港に着く便に乗り込んで帰途に就く。
第1便到着後に庄内空港ロビーで行われた歓迎式では、新田会長が「台湾の皆さんを大歓迎する。東日本大震災からの東北の復興、東北の元気に協力してほしい」、高橋節県副知事が「ようこそ山形へ。このような機会を通し交流を深めていけたら」とそれぞれあいさつ。台湾からの観光客を代表し、日本でいう国会議員にあたる立法委員を務める馬文君(マー・ウエンジュン)さんが「山形に来ることができたことを心からうれしく思う」と述べた上で、「大震災からの復興に向け、皆さんが力を合わせ頑張っている姿に感動を覚えた。このような観光を通し、少しでも復興に役立ちたい。一日も早く復興できるよう、一緒に頑張りましょう」と話した。
台湾に向かった出羽商工会(鶴岡市)の小野木覺会長、ウエノ(同)の上野隆一社長は「台湾の水利工事にあたった土木技師・故八田與一の墓参が日程2日目に組まれている。『日本人ここにあり』というところを見てきたい」と口をそろえた。
台湾へのツアーに荘内日報の高橋不二彦酒田支社長が同行する。