2012年(平成24年) 10月2日(火)付紙面より
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児童文学作家、小説家のあさのあつこさんの講演会「本によって、世界にふれる」が30日、鶴岡市中央公民館で開かれた。あさのさんが本との出合いや小説執筆の裏話などのエピソードとともに、本を読むことの意味などを語った。
あさのさんは岡山県出身。青山学院大卒業後、岡山市で小学校の臨時教員を務めた後に結婚し3人の子供を育てた。1991年に「ほたる館物語」で作家デビュー。97年に「バッテリー」で野間児童文芸賞、99年に「バッテリー2」で日本児童文学者協会賞、2005年に「バッテリー」全6巻で小学館児童出版文化賞をそれぞれ受賞した。著書に「No.6」「The MANZAI」など多数あり、ミステリーや時代小説も手掛ける。
今回の講演会は、鶴岡市内の読み聞かせの会関係者など市民有志で実行委員会(本間俊美代表)をつくり企画した。人が読書する意味や子供にとっての読書の大切さを、市民から考えてもらうことが狙い。
講演会は実行委員会スタッフとの対談形式で進められ、あさのさんは本との出合いについて「小学生のころは漫画ばかり読んでいた。中学生で海外ミステリー小説と出合い、特にシャーロックホームズシリーズが好きで自分の知らなかった世界が広がった。コンプレックスの固まりだった自分の周りを覆っていたのは壁なんかじゃなく、新しい世界につながる扉だったとその時気付いた」と語った。
また、児童文学やミステリー、時代物などさまざまなジャンルの小説を書くことについて「自分の作品にジャンルというくくりはなく、『どんな人物を書きたいのか』が大事。登場人物がどんなことを考え、どんな行動をするのか、少しずつ肉付けしていく。自分の心情を投影することはあるが、あまりモデルはいない」と話した。
このほか、鶴岡市出身の作家・藤沢周平さんに魅せられて時代小説を手掛けたエピソードや、近作の進行状況などについて語るとともに、聴衆から「10、20代のうちに読むべき本は?」という質問に「できるだけ多くのジャンルを読んでほしい。ライトノベルでも児童小説でもいい。ただ、古典文学も手に取ってほしい。後の糧になるはず」と答えていた。