2012年(平成24年) 10月4日(木)付紙面より
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庄内町家根合の家根合揚水機場で2日、「魚の学習会」が開かれた。町立余目第一小学校(椎名和美校長)の4年生が泥だらけになりながら貯水池のコイやフナを捕まえ、魚の生態を学んだ。
学習会は、家根合地区の農業者でつくるNPO法人の家根合生態系保全センター(佐藤昭一理事長)の主催。次代を担う子供たちから地元の生態系を学んでもらおうと、最上川土地改良区(同町余目)や県庄内総合支庁、町などと連携し、10年ほど前から毎年この時期に開催している。
この日は4年生38人と引率教員、改良区職員、NPO関係者など合わせて約70人が参加。約2メートルの深さの貯水池は水門を閉じたため、児童の足首ほどまで水量が減り、水中でうろこをきらめかせる魚の姿があちこちで見えるほど。長靴を履いた児童たちは池に入ると泥水をはね上げながら、たも網で魚を追った。
数人がかりで魚を池の端に追い込み、うまく網に入ると「でかいの捕まえた!」と大騒ぎ。中には頭から足まで全身泥だらけになった児童もいた。今回はコイやギンブナ、ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)、タモロコ、オイカワなど14種類の魚が見つかり、中にはウケクチウグイやカワヤツメなどの絶滅危惧種も交じっていた。
児童たちは改良区職員から魚の名称や特徴、習性などを教わりながら地元の豊かな生態系について学んでいた。体長20センチほどのフナを捕まえたという和島里緒さん(9)は「あまり魚捕りはしないので楽しかった。地元にいろんな種類の魚がいて驚いた」と話していた。
家根合揚水機場は、最上川土地改良区が最上川や立谷沢川の流れを引き込んでいる。池にためられた水は農業用に家根合地区の水田へ送られる。毎年春、池底の土砂を除くため前年の秋に貯水池の水を抜いており、その際に川から迷い込んだ魚を保護して近くの池や小川に放流している。
2012年(平成24年) 10月4日(木)付紙面より
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鶴岡市立藤沢周平記念館(鈴木晃館長)で3日から、特別展示「藤沢作品と庄内」が始まった。藤沢さんのエッセーや小説に登場する庄内地方の自然や文化、暮らしなどに関する資料を通じ、故郷をこよなく愛した藤沢さんの思いをうかがい知ることができる。
藤沢さんは青年期までを庄内で過ごし、庄内藩がモデルとされる海坂藩ものなど数多くの作品で庄内を描いている。特別展示はこうした故郷との関係に焦点を当て、「エッセイにみる庄内」「藤沢作品にみる庄内藩の文化」「庄内が舞台の藤沢作品」の3コーナーで構成した。
エッセーに関しては、「私は郷里の初冬の風景が好きなのである」(『周平独言』より)、「素材そのものがすでにうまい土地なのだ」(同)など庄内の風景、食、方言に関するエッセーの一節、それらに関する写真などを展示。「荘内方言」と題した自筆ノートでは「びしょなし だらしない人」「天こふぐ 上を向く」など庄内弁と共通語の説明が書かれている。
庄内藩の文化については、「三屋清左衛門残日録」などに出てくる磯釣りや鳥刺しの資料を紹介。鳥刺しに関しては、致道博物館所蔵の長さ3間(約5・4メートル)の竿や、小鳥をすくませるため吹く笛「竦(すくみ)」、江戸期に描かれた鳥刺しの図などを展示。
また、庄内を舞台にした藤沢作品は、天保の国替え事件を扱った「義民が駆ける」、清河八郎を描いた「回天の門」など、生前に発表された10作品と、庄内の歴史との関わりなどを解説している。
成澤万寿美専門員は「藤沢さんが故郷への思いをどのように作品に織り込んでいたかが分かる。特に地元の人に楽しんでもらえると思う」と見どころを語る。展示は来春(終了期日は未定)まで。