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2012年(平成24年) 12月14日(金)付紙面より

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年の瀬告げる縁起物 鶴岡の菓子店 「切さんしょ」作りに大忙し

 城下町・鶴岡に年の瀬を告げる名物として親しまれている「切さんしょ」作りが市街地の菓子店で最盛期を迎えている。

 切さんしょは明治時代、旧一日市町にあった老舗菓子店の8代目主人・佐藤甚右エ門が東京・浅草の酉(とり)の市で買い求めた菓子から着想を得て考案したとされる。当時は菓子を作る際に大量に出る「くず」を乾燥させ保存し、それを石臼でひいて粉にして山椒(さんしょう)粉を入れて作られていた。

 鶴岡市では七日町観音様のお年夜(17日)に縁起物の菓子としてだるまとともに売られるようになり、現在も師走を象徴する風物詩として市内の菓子店に並んでいる。

 同市で菓子製造販売を行う木村屋(吉野隆一代表取締役)では先月17日から準備を始め、22日から販売を開始した。切さんしょ作りは手作業で山椒の種とがくを取り分けるところから始まる。いった餅粉を蒸したものに山椒やみそ、黒糖などを加え、ついた後一晩寝かせてから切り分け、余分な粉をふるいにかけて落とし、袋詰めして仕上げる。販売部次長の吉野薫さん(29)は「切さんしょ作りは時間がかかり大変だが、作業が始まると師走の訪れを感じる。今年1年を振り返りながら鶴岡の風物詩を味わってほしい」と話した。

年の瀬の風物詩切さんしょ作りに大忙し
年の瀬の風物詩切さんしょ作りに大忙し


2012年(平成24年) 12月14日(金)付紙面より

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「奥羽自慢」3年ぶりに仕込み 300年の歴史ある蔵元再興へ

 2009年度を最後に仕込みをやめ休業していた清酒「奥羽自慢」の佐藤仁左衛門酒造場(鶴岡市上山添)が仕込みを再開し13日、今期初の搾り作業を行った。300年近い歴史を誇る蔵元だが、財政難などから廃業の方向にあった。「伝統の蔵元をなくしたくない」と楯の川酒造(酒田市山楯)が支援に乗り出し復活したもので、3年ぶりに漂う搾りたての新酒の香りに、関係者は「良い香りだ」と目を細めた。

 同酒造場は江戸中期の1724(享保9)年に創業し、酒は地元の黒川能の祭事にも使われてきた。近年では全国新酒鑑評会で1997―2006年の10年間に9回の金賞を受賞するなど酒造技術も高く評価されてきた。しかし、当主・佐藤仁佐衛門さん(71)の病気や蔵人の高齢化、財政難などで10年から休業。一部の道具を売るなど廃業の方向に向かっていた。

 しかし、同じ庄内で歴史を刻み、自身も衰退しかけた蔵元を再興させた楯の川酒造の佐藤淳平社長が「なくしたくない」と支援を申し入れ、今年10月半ばに仕込み再開を決定。蔵人を派遣するなどして準備を進め、11月1日から洗米など仕込み作業を始めた。

 この日搾ったのは、黒川能の祭事に欠かせないとして先月半ば、精米歩合60%の酒米「美山錦」で仕込んだ3000リットルのタンク。午前8時ごろから搾り袋(40リットル入り)55枚を重ねた「佐瀬式」という伝統の搾り器(槽)にもろみを入れた。自重で少しずつ搾られ、地下のタンクに青光りした酒が流れていくと、蔵には新酒の香りが広がった。

 家族によると、自宅で療養中の仁佐衛門さんは新酒の香りを嗅ぎ「匂い、いいの」と喜んだ。約40年間にわたり勤め、3年ぶりに手伝いにきた元蔵人の菅原正男さん(71)=同市熊出=は「やめるもんだと思っていた。いい香りだ」と目を細めた。

 楯の川酒造の蔵人で、仕込みで陣頭指揮している高橋哲さん(38)は「支援というより、手伝いにきただけ。不安やプレッシャーもあったが、何とかまずまずの酒ができた。当面は地元の人たちに飲んでもらえる酒造りに専念し、いずれ鑑評会にも出したい」と語る。水は全て井戸水を使い、奥深い味の「奥羽自慢」の伝統を醸したという。

 今期は来年3月まで3000リットルのタンク17本分(一升瓶換算で約4万5000本)を仕込む。
 この日搾った酒は今月20日から本醸造酒「黒川能の里 槽前(ふなまえ)酒」として一升瓶200本(参考価格1本2200円)、4合瓶400本(同1200円。ともに税別)を地元の酒店などで限定販売する。

槽の前で、3年ぶりに搾られた新酒をくむ高橋さん(手前)と菅原さん
槽の前で、3年ぶりに搾られた新酒をくむ高橋さん(手前)と菅原さん



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