2013年(平成25年) 1月31日(木)付紙面より
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庄内地方の若手農業者が提供した自慢の農産物を、地元シェフの創作料理で味わう「庄内の食を楽しむ会」が29日、鶴岡市下山添のイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」で開かれた。同店の西田淳之介シェフと、フランス料理店「Nico」(酒田市亀ケ崎三丁目)の太田舟二シェフの2人が腕を競うように提供したフルコース料理を楽しみながら、農業者と消費者らが交流を深めた。
地元農業者でつくる「庄内若手農家ネットワーク」(会員25人)の会員や流通の関係者らが実行委員会をつくり、2008年から年3、4回開いている。同ネットは農家の「経営者化」「リーダー化」を目指して月1回、金融、流通に関する勉強会を開いている。楽しむ会は本年度3回目で、農業者約10人を含め計約40人が参加した。
今回のテーマは「若手農家×若手シェフ」。西田さんが、小松菜を練り込み、エビやホタテなど魚介類とあえたパスタや、葉物野菜・プチベールとカキのリゾット、太田さんが甘味の強いニンジンをクリーム状に仕立てたスープ、原木シイタケとスズキのパイ包みなど、2人でデザートを含め計12品のコース料理を提供した。素材の個性を楽しむイタリアン、コクのあるソースで素材をまとめるフレンチ、それぞれの特色を出した料理が出てくるたび、「おいしい」の声が広がった。
農業者たちは各自が提供した食材の料理が出ると、「このシイタケは3カ月近くかけじっくり成長したので、肉厚でうま味が凝縮されている」など解説。各テーブルでも一緒に食べながら、「ジャガイモは寒くなると、でんぷんを糖に変えるので、今が一番おいしい」などと周囲に説明していた。
初めて参加した会社員、阿部新吾さん(29)=鶴岡市外内島=は「どれもおいしかった。普段は農家と話す機会もないが、今日は野菜の食べごろや魅力を聞けて勉強になった。また来たい」と感想を語った。
若手農家ネットの佐藤公一代表(39)=同市茨新田=は「以前は『良い物を作っていれば、いつか分かってもらえる』と思っていたが、この会を始め、それは独り善がりだと気付いた。分かってもらう努力をしないと、生産者の思いは伝わらない。消費者や飲食店関係者とつながる貴重な機会なので、今後も継続していきたい」と話した。
2013年(平成25年) 1月31日(木)付紙面より
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国宝に指定されている鶴岡市羽黒町手向の「羽黒山五重塔」で30日、同施設を管理する出羽三山神社の職員たちが雪下ろし作業を行った。
羽黒山五重塔は1372年に建立。東北地方で最も古い塔とされ、1966年に国宝の指定を受けた。雪下ろし作業は、雪の重みから国宝を守る冬季恒例の作業として同神社が毎年この時期に行っている。
この日は午前8時半すぎから職員8人で作業を開始した。時折、青空が広がる天候の中、地上から一番上の屋根まで20メートル以上ある最上層から順に作業。屋根の上には多い所で2メートル以上の積雪があり、職員たちは腰に命綱を巻いてスコップやスノーダンプで雪を落としていた。
職員たちが次々と屋根の上から雪の塊を落とすと、静寂に包まれた杉木立に「ドスン」という鈍い音が響き渡っていた。
作業に当たった職員の一人は「雪が硬くて重みがあるため作業はとても大変だが、午前中のうちに終わらせたい」と話していた。