2013年(平成25年) 2月28日(木)付紙面より
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昨年11月に鶴岡市でチャリティーイベント「えがおコンサート」を開いた実行委員会(代表・山下敦鶴岡高等養護学校長)が26日、収益金の一部を東日本大震災の被災者支援に生かしてほしいと、市に寄託した。
同コンサートは地域で音楽活動に取り組む人たちの発表の場にと、出演団体が実行委をつくり1994年から毎年開催。19回目の本年度は昨年11月29日、鶴岡市文化会館で開き、鶴高養の全校生徒57人をはじめ、市内の高校、合唱団など12団体が出演、約600人が鑑賞した。
収益金を震災義援金として贈るのは、前年に続き2回目。入場料(1人300円)による収益から運営経費などを除き、5万円を確保した。
この日は実行委を代表し、鶴高養生徒会長の菅原洸さん(18)=3年生、副会長の井上満明さん(17)=2年生=の2人が引率教諭と共に市役所を訪れ、榎本政規市長に義援金を手渡した。
菅原さんは「早く復興してほしいという願いを込めた」、井上さんは「被災者に笑顔になってもらえれば」とそれぞれ寄贈への思いを語った。
榎本市長は「心からお礼を述べる。市内には350人ほどが避難している。間もなく震災発生から丸2年になるが、なかなか復興は進まない。同じ東北の仲間として支えていきたい」と感謝を伝えた。
義援金は市を通じて市社会福祉協議会に贈られ、市内に避難している被災者支援に活用される。
2013年(平成25年) 2月28日(木)付紙面より
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庄内町と鹿児島県曽於(そお)市財部(たからべ)の両地区で作られた米「亀の尾」を使った純米吟醸の醸造が、庄内町余目の鯉川酒造で行われている。26日、財部地区から米の生産者や酒造りの企画を持ちかけた酒販業者が来庄し、もろみの発酵を見学した。
庄内町を発祥の地とする「亀の尾」は良食味米のルーツとして知られる。現在も全国各地に産地があり、財部地区では芋焼酎の麹米用に栽培されている。
2010年7月、記録的な豪雨災害で財部地区は多くの田畑が土砂に埋まった。芋焼酎の取引があった庄内町の酒販店「うめかわ」の三浦政司店長がこの話を聞き付け、地元の阿部亀治翁顕彰会の協力を得て「亀の尾」の種もみ15キロを用意。財部地区の栽培農家グループ「びっきょの会」(鬼丸久雄会長)へ送った。
この贈り物に感激した同会メンバーは同年9月に庄内町を訪問し、阿部亀治顕彰祭に参列。その後、顕彰会メンバーが財部地区を訪問し、新たに「亀の尾」の種もみを贈るなど交流を深めていた。
こうした中、全国の酒販店グループでつくる「日本・侍士(さむらい)の会」事務局の前畑浩一さん(57)=天世味(あませあじ)酒販代表取締役、曽於市=から「庄内町と財部、双方の亀の尾を使った日本酒を造り、友好の絆としたい」といった企画が出され、庄内町の蔵元・鯉川酒造が醸造を引き受けることになった。
同酒造は今月に入って仕込みを開始。庄内町と財部地区の「亀の尾」が均等になるよう11俵ずつの計22俵分(約1320キロ)を使用し、精米歩合55%の純米大吟醸となる予定。
酒造りの工程を見ようと、財部地区から「びっきょの会」メンバーの米生産者・下川幸春さん(60)、天世味酒販の前畑さん、中山江里子さん(41)の3人が25日に2泊3日の日程で来庄。翌26日に鯉川酒造を訪れ、もろみの発酵を見学するとともに、仕込み作業の一つの撹拌(かくはん)を体験した。
10年以上前から「亀の尾」の栽培を続け、昨年初めて庄内町産の種もみを使った下川さんは「寒い地方の種もみなので、肥料を与え過ぎないようにし、丈が高い品種なので倒伏しないよう気を使うことが多かった。災害から復旧した田で育てた。どんなお酒になるか楽しみ」と話した。また、前畑さんは「仕込み作業は非常に気持ちが高ぶった。財部地区と庄内町の物語を全国に広く伝えたい」、中山さんは「早く搾ったお酒を飲んでみたい」と笑顔を見せた。
純米吟醸酒は「侍士の門 純米吟醸 亀の尾」の名前で、720ミリリットル入りの限定約2000本が造られる。現在、鯉川酒造で搾りや瓶詰めの時期を検討している。主に鹿児島県内で販売され、庄内地方では庄内町余目の「うめかわ」で取り扱う予定。問い合わせは同店=電0234(42)2466=へ。