2013年(平成25年) 3月15日(金)付紙面より
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鶴岡市の藤島小学校(三浦洋介校長、児童339人)の子供たちが、途上国の子供たちのポリオワクチン接種に生かしてほしいと、ペットボトルのキャップ約2万3000個を集め13日、活動を支援している山形銀行の関係者に贈った。
同校では5、6年生で「すずかけ委員会」(委員16人)を組織、友達に優しくしたり物を大切にするなど思いやりの心を育んでいる。キャップ集めは、同委員会の活動として昨年度から始めた。
2年目の本年度は昨年4月から委員たちが週1回、昼休みの放送で全校児童に呼び掛け、市指定のごみ袋9袋分が集まった。地域住民が学校に持ってきてくれたものもあるという。
この日は、収集を支援している山形銀行鶴岡駅前支店の吉田進支店長が同校を訪れ、すずかけ委員会の前期委員長の石川輝君(12)、後期委員長の奥泉ひよりさん(12)ら6年生の委員6人からキャップを受け取った。
児童を代表し奥泉さんは「全校のみんなで力を合わせて集めたので、役立ててください」、吉田支店長は「ワクチンが足りなくなっている子供たちみんなに伝わるように頑張る」と話した。
集めたキャップはNPO法人「エコキャップ推進協会」(本部・横浜市)などを通じて現金化され、途上国の子供たちのワクチン接種に生かされる。今回は約27人分という。
すずかけ委員会は、校庭を取り囲むように植えられ学校を象徴するスズカケノキにちなむもので、教師や児童同士が思いやりのある行いを「すずかけの心だね」などと称賛し合っている。
2013年(平成25年) 3月15日(金)付紙面より
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三川町の生産者たちが特産品化を目指している菜の花「キラリボシ」を食べる会が13日、同町の物産館マイデルで開かれた。生産者や地元飲食店がキラリボシを使って調理したおにぎりや蒸しパン、アイスクリームなど趣向を凝らした料理が並び、参加者からは「とてもおいしい。料理のバリエーションも豊富で楽しかった」と好評だった。
キラリボシは、東北農業研究センター(岩手県)が開発した品種。苦味が残る従来の菜の花と違い、えぐみが少なく甘味があり、サラダにして生でも食べられるのが特徴。同町では10年ほど前から生産され、2011年に女性生産者が中心となり「キラリボシの会」(大川京子会長、会員20人)を発足し、生産販売している。
ハウス物は2月末、露地物は4月上旬に収穫が行われ、ピークはいずれも5月中旬。今年の作付面積は約40アール。同町の物産館マイデルで販売しているほか、同町や鶴岡市の飲食店や首都圏に流通している。
食べる会は、生産者と出荷先の関係者らの交流を深めることを目的に、マイデル運営協議会とキラリボシの会が企画。この日は、飲食店や流通業者などから約40人が参加した。
テーブルには、おにぎりやうどん、ババロア、クルミあえ、蒸しパンなど町のフランス料理店や生産者が作ったキラリボシ料理10品が並んだ。参加者は、一品一品に舌鼓を打ち、「くせがなく、甘味があってとてもおいしい」「特におにぎりは香りが良くて、一足早い春を感じることができた」と感想を話していた。
大川会長は「今年は2月に低温が続いた影響で生育が遅れたが、3月から暖かい日が続いたおかげで甘味の強いキラリボシができた。今後は、特産化に向けた課題でもある作付面積をもっと拡大していけるよう努力していきたい」と話していた。
2013年(平成25年) 3月15日(金)付紙面より
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森林文化都市―沼田市訪問記 野堀 嘉裕
鶴岡市は毎年「森の時間」というイベントを企画して市民を森へと誘っています。この企画の一環として平成24年11月17と18日の両日、鶴岡市と同じく森林文化都市宣言をしている群馬県沼田市を訪問し交流を深める森の時間特別編に参加しました。沼田市は平成17年に白沢村、利根村と合併し現在に至っています。市の東側は農地や植林地が多くみられますが、西側の上越国境に近い北部では自然林が多く残されています。今回の森の時間特別編では沼田市北部の玉原(たんばら)高原の森を散策しました。
11月17日は早朝に列車で鶴岡駅を出発し、昼には玉原高原に到着しました。宿泊先のペンション・モルゲンローテで昼食後、みぞれの降る中約80年生のヒノキの森を歩きました。森はすでに冬の装いで足首ほどの積雪が我々を迎えてくれました。鶴岡では森のソムリエさんが森に関する説明をしてくれますが沼田市では、利根沼田自然を愛する会自然環境指導員が活躍されています。初日は濱田誠氏が一行の案内役をしてくれました。彼らは玉原の森博物館楽迎員と自称していて、常時7?8名が玉原高原で案内活動をしているそうです。ヒノキ林は幹が曲がりくねっていてまるで体調不良にでもなったようです。玉原高原では冬の最深積雪が3メートルを超えるそうで、こんなところに植えられたヒノキはさぞ苦労して育ってきたのだろうと感じられます。ヒノキ林を通り越すとブナ二次林に至りますが、ここでは雪の上に残されたツキノワグマの足跡と連続した糞を発見しました。群馬県立自然史博物館の姉崎智子先生が定点カメラのデータ回収調査に来ていて、私たち一行に心安く解説をしてくれました。彼女は野生動物保護管理が専門の学芸員で、ツキノワグマの慌てた様子を説明してくれました。周辺には道標をかじった跡があり、道標の柱には無数のクマの毛が付着していました。宿泊地のペンションから500メートルほどの森にツキノワグマの活動範囲がある事には驚かされました。夕食後には暖炉の前で森林文化都市について同行した森のソムリエさんたちを含めて語り合いました。
翌18日は朝から雪が降る中、自然環境指導員の二川真士氏の案内でブナ平を見学しました。森の入り口に立つブナの大木の根元にあるニホンミツバチの巣を見せてもらいました。ブナの幹にはクマの爪痕がたくさん残っていて、何とか巣を取り出そうとしたクマの食欲を連想させます。このブナ平は直径1メートル以上のブナ大径木の中に30センチメートルほどのブナが混在している森で80年ほど前に一度伐採された経過があるそうです。その当時、幹が曲がっていて利用価値が低かったものが残されたので大きさの異なるブナが混在しているのだそうです。ここでは雪の上に残されたテンとウサギの追い駆けっこの足跡を発見しました。自然と人間が森という空間を共有している実感が湧きます。宿で着替えた後帰路につきましたが、新潟駅で羽越線に乗り換えようとしたところ強風のため列車が遅れているとのことです。庄内地方で強風の時は玉原高原では雪だと知り親近感がわきました。列車は1時間半ほど遅れましたが無事に鶴岡駅に到着しました。全行程中気配りの行き届いた沼田市と鶴岡市の職員の皆さんたち、自然環境指導員や森のソムリエさんたちには感謝の気持ちでいっぱいです。次の機会には沼田市の市民や自然環境指導員のみなさんたちと鶴岡での森の時間を共有したいものです。
(山形大学農学部教授 専門は森林情報学)