2015年(平成27年) 7月4日(土)付紙面より
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鶴岡市藤島地域で近年まで在来作物の復活に向けて選別を繰り返してきた「ふじしま大根」にあらためてスポットを当てようと本年度、同地域にある県立庄内農業高校の生徒たちが学校で栽培・研究に取り組む。3日は同市三和の月山パイロットファームで生徒たちが種取り作業を行った。
藤島地域では2003年から、八栄島、豊栄地区の藤島川沿いの畑でかつて栽培されていた「豊栄(ほうえい)大根」の復活に向けたプロジェクトに着手。先細りでない丸尻で葉の茎が三角形の断面をしているなどの特徴を持つ大根を9年にわたり選抜。ほぼ固定化されたとして11年度で選別を終え、12年度に豊栄大根に近い「ふじしま大根」と、選抜課程で生まれた赤い「ふじしま赤頭大根」という名称でお披露目し、いったん事業は終了していた。
その後、種は地元農家に配布するなどしたが、漬物に向くという大根の特徴を生かした商品開発まで至らなかったことなどから、現在はほぼ栽培されていない状態。今回は、庄内農業高の発展を支援しようと一昨年に行政と地域団体などで立ち上げた庄内農業高等学校地域連携協議会(田中壽一会長)の新規事業として、再び「ふじしま大根」に着目することにした。
この日は、「ふじしま大根」の栽培に独自に取り組んできた月山パイロットファーム取締役の相馬一廣さん(68)の元を同高生物環境科の2年生5人が訪問。相馬さんから食の安全にまつわる話を聞きながら、昨年秋に選抜し確保しておいた枝からさやを取り外し手作業で種取り。大川紗生(さき)さん(17)は「ふじしま大根を初めて知った。在来作物を残していくことが大変なことが分かった。もたっとした味ということだったので、学校でどう育つか楽しみ」と話していた。
同高では8月下旬から9月にかけて種をまき、収穫したもので加工に挑戦する予定。