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2015年(平成27年) 11月13日(金)付紙面より

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「あば漬け」復活へ 食文化女性リポーターが発信

 カブのみそ漬けの一種「あば漬け」を後世に継承しようという「あば漬け復活プロジェクト」が11日、鶴岡市湯田川のますや旅館で行われた。鶴岡の食文化を発信する「鶴岡食文化女性リポーター」たちが作業を手伝いながら、埋もれつつあるみそ漬け文化の再発掘を試みた。

 あば漬けは、「あば」の名が付いていることから旧温海町で作られていたものとされる。現在主流となっている甘酢漬けと違い、カブをみそ漬けにしたもの、またはみそ風味にした漬物。約30年前は地域によって家庭内でも作られていた。ますや旅館では以前、年間300キロほど作っていたが、甘酢漬けが主流になった30年ほど前に作るのをやめたという。

 復活プロジェクトは鶴岡食文化創造都市推進協議会(会長・榎本政規市長)が主催。鶴岡食文化女性リポーターの新規募集に絡めて「埋もれてしまいそうな食文化や技術」にスポットを当てた企画として実施した。参加した女性リポーターたちは、「Facebook」や「Twitter」、ブログなどSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を使って体験内容や意見、鶴岡の魅力などを発信してもらう。

 今回は地元鶴岡市や内陸などから新規リポーター9人を含めて計19人の男女が参加。初めに座学が行われ、山形大農学部の平智教授が「30年ほど前はみそ漬けが主流だった。記録によると、あば漬けはカブと刻んだ柿にみそを溶いた汁をかけて作ったもので江戸中期にあったとされる。作り方は文献によって違い、各家庭独自の方法で作っていたと思われる」と解説した。

 続いてますや旅館別棟の調理場で、女将(おかみ)の忠鉢泰子さんの指導で実際にあば漬けを漬ける作業。大きめのたるに在来野菜の藤沢カブ、塩、小ぬか、刻んだ庄内柿、朝日地域産のヤマブドウの皮、砂糖の順に入れる工程を数回繰り返し、たるが満杯になったところでみそを溶いた水を入れた。

 夫婦で参加した山形市の麻生幸子さん(58)は「2011年に田川カブの収穫に参加して以来のリポートで、あば漬けの作り方に感激した。カブと庄内柿、ヤマブドウの色合いがとてもきれい。どんな味になるのか想像できない」と話していた。また、女将の忠鉢さんは「周囲であば漬けを作る人がいなくなった。自分も30年ぶりで、うまくできているか楽しみ。今回のプロジェクトを機にみそ漬けの文化を後世に残してもらえれば」と語った。

 あば漬けは約2カ月漬け、来年1月14日に同旅館で試食会が行われる。

藤沢カブや庄内柿、ヤマブドウの皮などをたるに入れ、みそで漬ける「あば漬け」の復活に、食文化リポーターなどが立ち会った
藤沢カブや庄内柿、ヤマブドウの皮などをたるに入れ、みそで漬ける「あば漬け」の復活に、食文化リポーターなどが立ち会った



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