2024年11月27日 水曜日

文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2015年(平成27年) 11月13日(金)付紙面より

ツイート

「あば漬け」復活へ 食文化女性リポーターが発信

 カブのみそ漬けの一種「あば漬け」を後世に継承しようという「あば漬け復活プロジェクト」が11日、鶴岡市湯田川のますや旅館で行われた。鶴岡の食文化を発信する「鶴岡食文化女性リポーター」たちが作業を手伝いながら、埋もれつつあるみそ漬け文化の再発掘を試みた。

 あば漬けは、「あば」の名が付いていることから旧温海町で作られていたものとされる。現在主流となっている甘酢漬けと違い、カブをみそ漬けにしたもの、またはみそ風味にした漬物。約30年前は地域によって家庭内でも作られていた。ますや旅館では以前、年間300キロほど作っていたが、甘酢漬けが主流になった30年ほど前に作るのをやめたという。

 復活プロジェクトは鶴岡食文化創造都市推進協議会(会長・榎本政規市長)が主催。鶴岡食文化女性リポーターの新規募集に絡めて「埋もれてしまいそうな食文化や技術」にスポットを当てた企画として実施した。参加した女性リポーターたちは、「Facebook」や「Twitter」、ブログなどSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を使って体験内容や意見、鶴岡の魅力などを発信してもらう。

 今回は地元鶴岡市や内陸などから新規リポーター9人を含めて計19人の男女が参加。初めに座学が行われ、山形大農学部の平智教授が「30年ほど前はみそ漬けが主流だった。記録によると、あば漬けはカブと刻んだ柿にみそを溶いた汁をかけて作ったもので江戸中期にあったとされる。作り方は文献によって違い、各家庭独自の方法で作っていたと思われる」と解説した。

 続いてますや旅館別棟の調理場で、女将(おかみ)の忠鉢泰子さんの指導で実際にあば漬けを漬ける作業。大きめのたるに在来野菜の藤沢カブ、塩、小ぬか、刻んだ庄内柿、朝日地域産のヤマブドウの皮、砂糖の順に入れる工程を数回繰り返し、たるが満杯になったところでみそを溶いた水を入れた。

 夫婦で参加した山形市の麻生幸子さん(58)は「2011年に田川カブの収穫に参加して以来のリポートで、あば漬けの作り方に感激した。カブと庄内柿、ヤマブドウの色合いがとてもきれい。どんな味になるのか想像できない」と話していた。また、女将の忠鉢さんは「周囲であば漬けを作る人がいなくなった。自分も30年ぶりで、うまくできているか楽しみ。今回のプロジェクトを機にみそ漬けの文化を後世に残してもらえれば」と語った。

 あば漬けは約2カ月漬け、来年1月14日に同旅館で試食会が行われる。

藤沢カブや庄内柿、ヤマブドウの皮などをたるに入れ、みそで漬ける「あば漬け」の復活に、食文化リポーターなどが立ち会った
藤沢カブや庄内柿、ヤマブドウの皮などをたるに入れ、みそで漬ける「あば漬け」の復活に、食文化リポーターなどが立ち会った



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

  ■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

ニッポー広場メニュー
お口の健康そこが知りたい
気になるお口の健康について、歯科医の先生方が分かりやすく解説します
鶴岡・致道博物館 記念特別展 徳川四天王筆頭 酒井忠次
酒井家庄内入部400年を記念し、徳川家康の重臣として活躍した酒井家初代・忠次公の逸話を交え事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第2部 中興の祖 酒井忠徳と庄内藩校致道館
酒井家庄内入部400年を記念し、庄内藩中興の祖と称された酒井家9代・忠徳公の業績と生涯をたどる。
致道博物館 記念特別展 第3部 民衆のチカラ 三方領知替え阻止運動
江戸幕府が3大名に命じた転封令。幕命撤回に至る、庄内全域で巻き起こった阻止運動をたどる。
致道博物館 記念特別展 第4部 藩祖 酒井 忠勝
酒井家3代で初代藩主として、庄内と酒井家400年の基盤を整えた忠勝公の事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第5部 「酒井家の明治維新 戊辰戦争と松ケ岡開墾」
幕末~明治・大正の激動期の庄内藩と明治維新後も鶴岡に住み続けた酒井家の事績をたどる。
酒井家庄内入部400年
酒井家が藩主として庄内に入部し400年を迎えます。東北公益文科大学の門松秀樹さんがその歴史を紹介します。
続教育の本質
教育現場に身を置く筆者による提言の続編です。
教育の本質
子どもたちを取り巻く環境は日々変化しています。長らく教育現場に身を置く筆者が教育をテーマに提言しています。
柏戸の真実
鶴岡市櫛引地域出身の大相撲の元横綱・柏戸の土俵人生に迫ります。本人の歩み、努力を温かく見守った家族・親族や関係者の視点も多く交えて振り返ります。
藤沢周平の魅力 海坂かわら版
藤沢周平作品の魅力を研究者などの視点から紹介しています
郷土の先人・先覚
世界あるいは全国で活躍し、各分野で礎を築いた庄内出身の先人・先覚たちを紹介しています
美食同元
旬の食べ物を使った、おいしくて簡単、栄養満点の食事のポイントを学んでいきましょう
庄内海の幸山の幸
庄内の「うまいもの」を関係者のお話などを交えながら解説しています

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field