2015年(平成27年) 3月26日(木)付紙面より
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全国の高校生が最先端の科学を体験する「スプリング・サイエンスキャンプ2015」が24―26の2泊3日の日程で鶴岡市の慶應義塾大先端生命科学研究所で開かれ、最先端のバイオテクノロジーを体験学習している。
第一線で活躍する研究者や技術者から実験、実習、講義などの指導を受けることで、さまざまな分野の科学技術に触れる機会を提供しようと、独立行政法人科学技術振興機構が主催し毎年春休み期間に実施している。今年は全国の大学や公的研究機関、民間企業の研究所など12施設で行われる。
慶大先端研では2006年度から開かれ、今回は県内の3人と沖縄、宮崎、佐賀、山梨、静岡、栃木などの高校生合わせて16人が参加。合宿生活を送りながら同市大宝寺のバイオラボ棟などで分子生物学やメタボローム解析など最先端のシステムバイオロジーを体験している。
初日の24日は、バイオラボ棟で開講式が開かれ、同研究所の冨田勝所長が「生命科学はこれから20年、30年とどんどん面白くなる分野。興味を持ったあなたたちはラッキーだと思う。ぜひ集まった仲間たちとつながりをつくって」とあいさつした。続いて高校生たちが白衣を身に着け、真剣な表情でマイクロピペットなど実験器具の取り扱いを学び、遺伝子の増幅実験などに取り組んだ。
庄内から唯一参加した羽黒高1年の伊藤紗悠夏さん(16)は「本年度の先端研の特別研究生として学んでいる。全国から生徒が集まるこの機会に積極的に話し掛けて将来に役立てたい」と話していた。
高校生は26日まで実験のほか慶應大の学生とのディスカッションなどを行う。
2015年(平成27年) 3月26日(木)付紙面より
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タイ王国の元厚生大臣で現在は同省アドバイザーを務めるモンコーン・ナ・ソンクラさんをはじめとする同国の歯科医療視察団の一行が24日、酒田市の日吉歯科診療所(熊谷崇院長)を訪問、熊谷院長らの講話を通して同国での予防歯科医療導入の可能性を探った。
一行はモンコーンさんをはじめ、世界歯科連盟公衆衛生委員会副議長を務めるプラティプ・ハントンバネットさん、スラナリー工科大学歯学部長のユピン・ソンパイサンさんら6人。同診療所を中心として酒田地域で広く行われ、成果を挙げている予防歯科医療、総合的な口腔(こうくう)ケア管理について学ぶのが目的。
一行は同診療所を見学して回った後、熊谷院長と共に学校歯科の現場でさまざまな取り組みを行ってきた本間幸子十坂小養護教諭がこれまで実践してきた活動を報告。「熊谷院長との出会いは28年前。当時は虫歯の早期発見・早期受診、受診率を上げるのが養護教諭の仕事だったが、それらは負の働きで子供たちの健康を阻害しているということを熊谷院長から学んだ」と述べ、「熊谷院長の『教育に勝る予防はない』との言葉から力をもらい、校長をはじめ全教職員で歯の健康づくりを展開し、数々の賞を頂いた。全教職員が新しい歯科保健の考え方を共有することができた」と語った。
引き続き熊谷院長が地域への啓蒙(けいもう)活動を紹介。「入学してきた児童が6年間、新しい虫歯をつくらないという目的を立てた。歯科衛生士が学校に出向いて予防プログラムを実施したほか、一人一人の口腔写真撮影、歯の健康ノート作成などを行った。先生や父母、祖父母を対象に新しい歯科医療に関する講話もした」と述べ、市内の児童の虫歯減少率を基に「4104本の歯を救い、約2500万円の医療費を節約した」と算出すると、笑いも起きた。一行はメモを取ったり、スライドを写真に収めるなどし熱心に聴講していた。