2016年(平成28年) 12月14日(水)付紙面より
ツイート
♪アドベントクランツに明かりがつくと 神の子イエスさまのお誕生が近くなる―。クリスマスシーズンが近づく中、各地のキリスト系幼稚園などでは、アドベント(待降節)を迎え、4本のろうそくに順に火をともし、クリスマスを迎える準備を進めている。
アドベントは、11月30日に最も近い日曜日からクリスマスイブまでの約4週間を指す。ヨーロッパの教会や家庭ではろうそくを4本用意し、1週目(第1主日)から順に火をともす習慣が残る。ろうそくは常緑樹の枝を丸くまとめた「アドベントクランツ(リース)」の上に立てられる。
鶴岡市のキリスト教若葉学園が運営する認定こども園「若葉幼稚園」(田口美穂園長、園児28人)では12日、3週目となるアドベント礼拝が行われた。年長児の3人がアドベントクランツのろうそく3本に火をともし、田口園長がキリストの誕生にまつわる「3人の博士」の話を聞かせた。子どもたちは賛美歌「アドベントクランツに」などを歌い、クリスマス本来の意味を理解し心待ちにした。
同園では17日にクリスマス祝会を予定し、当日の礼拝で4本目のろうそくに火がともされる。
2016年(平成28年) 12月14日(水)付紙面より
ツイート
酒田市の南平田小学校(長岡均校長)の3年生39人が栽培に挑戦した同市平田地域特産「赤ネギ」の販売会が13日、同校内で行われ、大勢の保護者や地域住民が“来店”。自ら売り子を務めた児童は「大勢の人が来てくれてうれしい」と目を輝かせていた。
同校では10年前から毎年、外部講師として山形大農学部認定「やまがた在来作物マイスター」の農業、冨樫文雄さん(75)=同市砂越=を招き、3年生が赤ネギの栽培に挑戦。総合学習「広めよう 平田の赤ネギ」と銘打ち今季は5月26日、学校脇の約2アールの畑に播(は)種。11月22日の収穫、その後の袋詰めまで冨樫さんの指導で作業を体験してきたほか、販売会開催を知らせるお便りを作成し全校児童の保護者、外部講師に配布した。
販売会は児童昇降口前で行われ、販売開始を前に大勢の保護者、外部講師が訪問、3本入り1袋100円の赤ネギを買い求めていた。黒田吏乃さん(8)は「赤ネギは好き。種まきの作業が大変だった。大勢の人から来てもらい、とてもうれしい」、阿部晏士君(8)は「収穫作業が大変だった。地域の人からたくさん赤ネギを食べてもらいたい」と話した。 売上金は今後、義援金として寄付する予定という。
2016年(平成28年) 12月14日(水)付紙面より
ツイート
落書き考 小山 浩正
いつの間にか公衆トイレの壁がずいぶん綺麗になったと思いませんか?少し前まで猥雑な落書きで埋め尽くされていたのに、気づけばピカピカなのに慣れています。大衆がモラルを身につけた?それもあるのかもしれませんが、やはりインターネットによる福音でしょう。SNSで手軽に不特定多数を相手に自己主張できるのですから、わざわざあの狭い空間に書き込む必要はなくなったのではないでしょうか。束の間のひと時を過ごすあの個室が綺麗になった代償に、猥雑なツブヤキが全世界にまき散らされるとしたら皮肉な結果です。
自然の中で落書きの犠牲になりやすいのは、なんといってもブナの木。不幸なことに、この木の白く滑らかな樹皮は人々の書き込み衝動を刺激するようで、刃物で彫り込まれているのもよく見かけます。生き物なのですから虐待ですよね。なかには○年○月○日とご丁寧に犯行日を残しているものさえあります。「相合い傘」なんかもあります。刻んだ二人はその後別れてないでしょうね。青春の汚点が人生の傷になっていなけりゃいいけどさ。
では、この青春の汚点の行く末についてクイズです。このあと何年か経って、その木がより高く成長したら、樹皮に刻まれた落書きは何処へ行くのでしょう?次の2つから選んでください。1成長に伴い上に移動する。2同じ高さに留まり続ける。さて、正解は…2です。1と思う人が意外に多いみたいですが、何年たっても決して上には行きません。樹木の伸び方からそれを考えてみましょう。その年の成長が終わった秋の枝先に芽ができます。この芽が翌春に開き、新しい枝が伸びて、秋にはその先にまた芽ができます。そして、また翌春にそれが開いて伸びる。樹木の成長はくり返しです。つまり、新たな部位をそれまでの上に積み上げて行くので、途中についた傷の高さは変わらないのです。もちろん、一年ごとに年輪を重ねて太りますから横には膨張します。この性質があるので、私たちは一本一本の決まった高さにペンキを塗っておき、数年後に再びそこを計測して太り具合を調べたりするのです。女優の仲間由紀恵さんが主演したある映画で、幹に仕掛けを打ちつけておき、10年後にそれがはるか頭上へ移動するのを待って殺人に使うというシナリオがありました。ありえない『トリック』です。
ところで、私には忘れがたいトイレの落書きがあります。20年くらい前に長期研修でお世話になった首都圏のとある大学の図書館のトイレで展開されていた将棋の対戦です。毎日、誰かと誰かが一手ずつ交互に駒を移動させていて、横には棋譜と観衆の論評も書き込まれました。「へぇ、そう行くのか」と、毎日そこで「する」のが楽しみでしたが、あのトイレも今はすっかり綺麗になっているのだろうなぁ。トイレの落書きは消えても、ブナに刻んだ「青春の汚点」は消えません。おそらく刻んだ当人が忘れても、いや本人が逝った後でさえ…そう思うと何だか寒いですね。
(元山形大学農学部教授 専門はブナ林をはじめとする生態学。筆者は今年3月に急逝されました。原稿は生前に寄稿していただいていたものです)