2018年(平成30年) 8月30日(木)付紙面より
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サミット酒田パワー(酒田市、高瀬正道社長)が同市宮海の酒田臨海工業団地内で建設した「酒田バイオマス発電所」の商業運転がスタートし28日、現地で見学会が行われた。県産を中心にした国内木質チップ、カナダ産木質ペレットなどを燃料にしており、年間発電量は一般家庭約9万7000世帯分に当たる約3億5000万キロワット時。同社に98%出資するサミットエナジー(東京都千代田区)に自家消費分を除いた全量を販売し、年間売電額は100億円を見込んでいる。
バイオマス発電は木質チップ、木質ペレット、ヤシ殻などを燃料にした再生可能エネルギー。天候に左右されることなく、継続的に稼働可能な「ベースロード電源」に分類され、発電単価が安く、安定した供給を見込めるのが特徴。住友商事(東京都中央区)の100%子会社・サミットエナジーは電気小売などを手掛けており、酒田の他、新潟県糸魚川市、愛知県半田市でもバイオマス発電所を展開している。
サミット酒田パワーの高瀬社長によると、同工業団地の計約4・5ヘクタールを県から購入しボイラー棟、タービン棟といった発電所本体を整備。対岸の酒田北港古湊埠頭(ふとう)には県から敷地を借り受け、カナダから輸入する木質ペレット用の倉庫(約1・25ヘクタール)を新設した。総事業費は250億円。正社員28人のうち、出向の3人を除く25人は庄内地域を中心に採用。今年6月に発電を開始し、今月23日から稼働している。
用いる燃料は、県産を中心とした未利用材や林地残材など国内木質チップが4割、輸入木質ペレットが5割、石炭が1割。年間、木質チップを16万トン、ペレットを10万トンそれぞれ使用するという。焼却灰の一部は路盤材として活用する方針。高瀬社長は「2012年の会社設立から6年弱、ようやくスタート台に立てたという感じ。将来的には本県産木質チップの使用比率を高めていき、県内林業の発展、地球温暖化防止に寄与したい」と話した。