2020年(令和2年) 6月18日(木)付紙面より
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空き家・空き地対策に取り組む鶴岡市のNPO法人つるおかランド・バンク(廣瀬大治理事長)が、本年度に国土交通省が実施する「ランドバンク活用等の先進事例構築モデル調査」事業に採択された。全国6件の1つで、つるおかランド・バンクは同省の支援を受けながら、これまでに行ってきた空き家・空き地に関する相談内容を分析・整理し、幅の狭い道路に面する物件の成約に向けた区画再編の可能性など解決策を検討する。
つるおかランド・バンクは、市街地を中心に増加傾向にある空き家・空き地の有効活用に民間の手法を活用して取り組むことを目的に、土地や家屋に関する専門家らが構成員となって2013年1月に設立。空き家・空き地の活用に関する各種相談受け付け、市街密集地の空き家・空き地と幅の狭い道路を一体的に整備する小規模連鎖型区画再編事業(ランド・バンク事業)などを展開している。
国交省は、本格的な人口減少社会を迎え、有効活用されずに放置される管理不全土地が全国的に増加していることを踏まえ、モデル調査を実施する。土地の適切な利用・管理の推進に向け、NPO法人や民間事業者などが展開している先進的な取り組みを支援し、全国に広めるのが狙い。今年4―5月に全国から17件の応募があり、上山市や千葉県八千代市、兵庫県神戸市などのNPO法人や建築士事務所、自治体などとともに採択された。
つるおかランド・バンクの取り組みは、設立当初から国交省が注目し、先進事例として全国に紹介してきた。今回のモデル調査採択で、同ランド・バンクは専門の学術機関と連携し、設立からこれまでに受けた900件を超える相談を整理した上で、売却や土地再編の成約事例を分析。さらに未成約となったケースも分析した上で、地理的条件を踏まえた区画再編などによる解決策の方向性を探る。国交省はモデル調査の事業費として、採択1件当たり300万円を上限に補助する。
鶴岡市によると18年3月末時点の同市の空き家は3402件ある。市都市計画課は「先進地の一つとしてモデル調査を通じ、空き家・空き地の有効活用に向けた方向性、解決策の検討が進むことを期待したい」と話している。