2020年(令和2年) 7月10日(金)付紙面より
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鶴岡市立荘内病院(鈴木聡院長)と国立がん研究センター東病院(千葉県柏市、大津敦院長)は8日、がん医療に関する連携協定を締結した。早ければ11月にも荘内病院に東病院の専門医による「がん相談外来」が開設されるほか、インターネットのオンラインを活用した遠隔診療についても共同で可能性を探り、世界のがん医療開発拠点を目指す国がん東病院と地方の医療機関との連携を見据えた「鶴岡モデル」の構築にも取り組む。国がん東病院が遠隔地の医療機関と連携協定を結ぶのは今回が初めて。
地方創生に伴う国の機関の地方移転の一環で2016年度、鶴岡市覚岸寺の市先端研究産業支援センター内に、国立がん研究センター鶴岡連携拠点「がんメタボロミクス研究室」が開設されたことが縁となり、両病院の連携がまとまった。
がん相談外来は月1回程度、国がん東病院の専門医1人を荘内病院に迎えて開設する。8月から準備を進め11月からスタートする予定。併せてオンラインシステムの整備を進め、遠隔診療プロジェクトの実証研究を検討。医療・看護職の人的交流も視野に入れる。
国がん東病院は、国内トップレベルのがん診療・研究機能を有する。荘内病院としては今回の連携協定によって、▽新規治療薬の治験を含め、希少がんなど難治がん患者が専門性の高いがん治療を受けることができる▽がん相談外来と沿革診療システムによるセカンドオピニオン―などを期待する。一方、国がん東病院は、最新のがん医療を国内に広く普及させることを目指しており、将来的な遠隔診療を視野に入れた「鶴岡モデル」の構築を図り、このモデルの展開を探る。
連携協定の締結式は8日、荘内病院で行われ、両病院の関係者らが出席。荘内病院の鈴木院長と国がん東病院の大津院長が協定書に署名した。鈴木院長は「荘内病院を含む地域医療発展への起爆剤になる。地方都市の患者が先端医療を享受できるよう遠隔治療のシステム構築に一緒に取り組みたい」、大津院長は「荘内病院のニーズへの対応を考えながら、この地域のがん治療に少しでも貢献できるようにしたい。このモデルを成功させることが、国内の遠隔地と連携を深める鍵になる」とそれぞれ述べた。