2020年(令和2年) 9月20日(日)付紙面より
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鶴岡市の庄内農業高校(加藤千恵校長)の「うどん部」(正式名称・農業部食品加工班、菅原愛花部長、部員18人)は、同市藤島地域の飲食店8店舗で展開中の「庄農うどん大作戦!」に、自分たちで製麺した「庄農うどん」を提供し、人気となっている。
庄農うどんは、食品加工を学ぶ生徒が授業の一環で製麺し、学校祭や地域行事などで販売してきた。こしがあり、のど越しも良いとして、学校祭ではこのうどんを求めて長蛇の列ができ、毎年2000食ほどがはける人気だ。
うどん部は、うどんなどをキャリア教育の推進や学校のPR、地域の活性化に生かそうと2018年に設立。うどんのほか、コンテストに出品する料理やお菓子の研究などに取り組んでいる。本年度の部員は18人(1年生10人、2年生8人)。
昨年6月末から8月初めにかけては同校地域連携協議会(田中壽一会長、事務局・鶴岡市藤島庁舎)、出羽商工会(上野隆一会長)との産学官連携で初の「庄農うどん大作戦!」を実施。うどん部員が作るうどんを藤島地域の飲食店6店舗でオリジナルメニューにして提供した。
2回目の「大作戦」は今月4日から来月18日(日)まで実施している。昨年はすぐに完売して食べられなかったという人も多かったため、昨年に比べ、提供期間は約1カ月から約1カ月半、提供日は土・日の週2日から金・土・日の週3日、参加飲食店は6店舗から8店舗にそれぞれ増えた。
うどん部は大作戦の期間中、3班に分かれ、毎週木曜日の放課後に1班ずつ交代で製麺している。提供するうどんは、昨年は当初の週150食から終盤は225食に増加。今年は225食から始め、第3週の注文は285食に増えた。
第3週分を作った17日は、部員5人が午後4時ごろから校内の実習室で製麺。叶野哲教諭の指導で製麺機から出てくるうどんを箱に入れたり、包装してシールを貼るなどした。部員たちは本年度、製麺のほか、8店舗のメニュー開発やポップ作り、職場体験と、多面的に職業体験している。
ともに食品科学科で、2年生の齋藤桐葉さん(16)は「自分たちが作ったうどんがお店で提供され、『おいしい』と食べてもらえるのはうれしい。調理師を目指しているので、さまざまな体験はとても有意義」、1年生の堀井玲月さん(15)は「高校生がうどんを作るって、われながらすごいと思う。お店での体験もためになった」と話した。叶野教諭は「うどんが、生徒の学びや地域で活躍するツールになっている。注文が増え、庄農うどんが地域の人たちにいかに愛されているかが分かる」と話した。うどんは、出羽商工会の関連会社「出羽の四季」を通じて各店に販売。収益は、部員たちの割烹着や備品の購入など活動の充実に充てるという。
2020年(令和2年) 9月20日(日)付紙面より
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酒田調理師専門学校(土門陽吉校長)の高度調理技術科2年生5人が18日、遊佐町吹浦沖の海水で製塩している「さかたの塩」(酒田市宮海、大川義雄社長)を訪問、同社創業者の高橋充治さん(76)=高橋建築会長=の講義、体験を通し、料理を引き立てる「塩」について理解を深めた。
「さかたの塩」は高橋会長が2008年、建築廃材を燃料にして製塩を始め今年7月、独立・法人化した。鳥海山の伏流水が流れ込む吹浦沖で海水をくみ直火で平釜を煮詰め、ミネラル分が豊富な塩を製造している。先月には日本酒の酒粕、ワインの澱をそれぞれ使った「酒粕塩」「ワイン塩」を発表し早速、人気商品になっている。
今回の訪問は、調理師を目指す学生たちから天然の塩づくりを学んでもらおうと、同校が展開する「地域の食文化を担う人材育成プログラム」の一環として行われた。講義で高橋さんは「海水1500リットルから採れる塩は約50キロ」「平釜を煮詰める際の火力の強弱、時間の長短で細かさを調整している」などと紹介した。
学生たちはその後、平釜から塩をすくい、にがりを取り除く作業を体験。すくったばかりの塩をなめた学生たちは一斉に「しょっぱい」。塩分濃度30%のスプレータイプ液状塩「水塩―円満塩」はじめ同社が製造するさまざまな塩を用いてキュウリ、トマトを食べ比べ、「粗塩が好み」「焼き塩がおいしい」などと会話を弾ませていた。
同校によると、来月には調理科1年生も同社を訪問し見識を深めるという。