2021年(令和3年) 6月8日(火)付紙面より
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鶴岡市北前船日本遺産推進協議会の設立総会が7日、市役所で開かれた。文化庁の日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間?北前船寄港地・船主集落?」に同市が追加認定されたことを踏まえ、構成文化財に関わる関係者らで立ち上げもので、同市の他の2つの日本遺産とも連携しながら、PR用の映像作成や案内看板の設置、マップの作成などを通じ、地域活性化と交流人口の拡大につなげていく。
北前船の日本遺産は2017年4月、酒田市など全国7道県11市町が認定され、その後、3回にわたる追加認定で、現在は16都道府県48市町となっている。鶴岡市は2019年5月に追加認定された。構成文化財は、北前船で栄えた加茂港周辺の町並みをはじめ、石名坂家住宅の主屋・蔵、浄禅寺の釣鐘(以上はいずれも加茂)、善寳寺の五百羅漢堂、致道博物館の北前船関連資料の5つ。
推進協は、市、市教育委員会、加茂地区自治振興会、善寳寺、致道博物館、加茂水族館を運営する市開発公社、鶴岡商工会議所、出羽商工会、DEGAM鶴岡ツーリズムビューローの9団体で構成する。
この日の設立総会には関係者約10人が出席。規約を承認し、会長には加茂地区自治振興会の上林達哉会長(65)=同市金沢、副会長に善寳寺の五十嵐卓三住職、致道博物館の酒井忠久代表理事を選出、顧問に皆川治市長、北前船交流拡大機構の秋葉雄参事を委嘱した。
本年度は市の補助金100万円を財源に、普及啓発に向けた映像資料(DVD)の作成、案内表示板の製作、案内マップの作成などに取り組む。来年度以降の長期的な構想としては、市の他の2つの日本遺産(出羽三山生まれ変わりの旅、サムライゆかりのシルク)の各推進協と連携し、PRイベントへの参加や、加茂―松ケ岡(シルク)―羽黒山と連なる仮称「日本遺産ロード」としての周遊観光の推進、パンフや映像の小中学校への頒布などによる郷土愛醸成、他の北前船日本遺産認定都市との交流などにも取り組む。
上林会長は就任あいさつで「広域的に、点でなく、線で結びながら、いろんな展開をしたい」と抱負。自治振興会所有のヨットやサーフボードを活用した体験イベントも絡めていきたい意向を示した。
そのほか出席者からは「体験型を中心に修学旅行の受け入れに注力を」「年間50万人が訪れる加茂水族館からの人の流れをつくる工夫を」「食文化関連の動きとも連携して」「(加茂に墓がある詩人)茨木のり子さんなども絡めて」「善寳寺での座禅などの体験も」といった意見が出た。
2021年(令和3年) 6月8日(火)付紙面より
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日本海を広く回遊するスルメイカを追う中型イカ釣り船2隻が6日、酒田市の酒田港を出航した。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から市と県漁業協同組合による出航式は、昨年に引き続き中止。袖岡埠頭(ふとう)に集まった家族、関係者は乗組員たちの航海の安全と大漁への願いを込めて送り出した。
150トン前後の中型船で船団を組み、6月初旬から年末ごろまで日本海中央部の大和堆を中心に島根県沖からオホーツク海まで操業し、「船凍イカ」にして水揚げする。本県関係の船は、北海道から石川県までの十数隻で「山形県船友漁撈長会」(山形船団)を結成し、全国トップクラスの水揚げを誇っている。漁撈長の大半が酒田市飛島を中心にした庄内地域出身者。
この日は朝から気温が上昇する好天の中、甲板を埋めつくす多くの大漁旗で彩られた第85興福丸、第86若潮丸が袖岡埠頭に停泊、午前10時ごろから飲食物などの積み込み作業が行われた。
出航を前に、丸山至市長と本間昭志県漁協代表理事組合長が駆け付け、丸山市長は「来年こそは多くの市民から参加してもらい出航式をやりたい。まずは安全操業と大漁を期待する。気を付けていってらっしゃい」と乗組員を激励。家族、関係者に見守られて2隻は正午すぎ、同市の太鼓団体「風の会」の演奏が響く中、大海原に向けて港を出た。
第86若潮丸の本間健漁撈長(65)=同市=によると、好漁場として知られる大和堆での外国漁船の違法操業、コロナ禍に伴う魚価の低迷など不安は尽きないという。本間漁撈長は「今年は沿岸域での漁がパッとしないと聞く。出てみないと分からないが、まずは日本海のど真ん中(大和堆)でイカを追い掛けたい。酒田を『イカのまち』にしようと市長も頑張っている。期待に応えたい」と話し、船に乗り込んだ。
市によると、酒田港への最初の水揚げは来月中旬になるという。